1999 Fiscal Year Annual Research Report
地方都市における基盤整備事業別住宅フローの立地に関する研究―愛知県豊川市を事例として―
Project/Area Number |
10750453
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 友彦 筑波大学, 社会工学系, 講師 (40283494)
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Keywords | 土地改良事業 / 土地区画整理事業 / 市街化区域内農地 / 基盤整備 |
Research Abstract |
昨年度愛知県豊川市の事例調査の結果を発表したので、本年度はそれをより一般化された視点で考察するために、愛知県全体についての研究を行った。特に、住宅建設において無視できない要素である市街化区域内土地改良事業地区について、その位置・面積等を分析した。その結果は以下の通りである。 愛知県において、市街化区域内土地改良は合計で約7085haあり、市街化区域に対する面積割合のもっとも多い5市町村を見ると、7割を超える区域に土地改良事業が1960年代を中心に施行されていた。ほとんどの市街化区域内土地改良は愛知県の北西部において名古屋市に隣接する市町村で施行されている。面積割合の多いこれらの自治体では、国庫補助を受けず、直営の事業として施行された。区画整理事業よりも減歩率を小さくしたいが、宅地並みの道路水準も確保したいという思惑が、地主をして直営の土地改良事業を選択させたのだと考えられる。 市街化区域内土地改良発生の行政上の背景としては、まず第1に、愛知県によって過大な市街化区域設定が行われたために、土地改良事業地区を市街化区域に包摂せざるを得なかったのではないかということが改めて考えられる。第2に、土地改良事業地区を市街化区域に内包することを積極的にではないにしろ、行政側が容認した、ということも背景の一つとして考えてよいのではないだろうか。 いずれにしても、当初筆者らが抱いていた市街化区域内土地改良は狭あいな農道と小規模な住宅宅地を生み出しているという問題意識はある意味で一面的であった。名古屋市北西部に集中している土地改良に限って言えば必ずしもそうではなかったからである。 今後は、農地向けに施行され、狭あいな道路等を生み出した市街化区域内土地改良に絞って、その住宅地の水準について検討してみたい。
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