1998 Fiscal Year Annual Research Report
マルテンサイト時効効果の起源に関する新しいモデルの実験的検証
Project/Area Number |
10750476
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
任 曉兵 筑波大学, 物質工学系, 助手 (50292529)
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Keywords | マルテンサイト / マルテンサイト変態 / 時効効果 / 点欠陥 / 空孔 / AuCd / 形状記憶合金 |
Research Abstract |
今年度はAuCd合金単結晶を作製し、格子欠陥濃度の組成依存性を実験的に調べ、B2規則構造を持つ形状記憶合金に普通な金属より数桁高い空孔濃度を有することを明らかにし、これらの点欠陥とマルテンサイト時効効果の間に重要な相関関係を見出した。これらの結果は我々提案したモデルを支持することになった。又、AuCd合金マルテンサイトを電子顕微鏡観察により上記のモデルを強く支持するデータが得られた。具体的な成果を以下のとおりである。 1. 単結晶AuCd試料(Voidが少ない)を用いて、AuCd合金の空孔濃度を初めて定量的に測定することができた。更に、Bragg-Williams近似を用いて点欠陥の濃度と種類の組成依存性を明らかにした。これらの成果に関する論文は今投稿中である。 2. 以上の重要な情報を踏まえて、マルテンサイト時効効果の組成依存性を研究した結果、時効効果の大きさは反構造欠陥に支配され、速さは点欠陥の濃度(つまり拡散の速さ)に支配されることが分かった。 3. 電子顕微鏡観察から、マルテンサイトのドメイン-コントラストが母相になっても残ることが確認され、この結果はマルテンサイト構造に依存せず、極めて一般的な現象であることが分かった。これは我々提案したモデルで予言した結果で、このモデルの正当性を強く支持することになった。但し、これらのデータはつい最近出たばかりので、詳細は来年度に報告する予定である。
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[Publications] K.Otsuka et al.: "Origin of aging effect and rubber-like behavior in martensite" The 3^<rd>Pacific Rim Int.Conf.on Advanced Materials and Processing. 1173-1180 (1998)
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[Publications] 任曉兵、大塚和弘: "マルテンサイトの時効効果とゴム弾性的挙動の起源" まてりあ. 37・6. 498-500 (1998)
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[Publications] K.Otsuka et al.: "Composition dependence of the rubber-like behavior in AuCd alloys" Materials Science and Engineering A. (accepted.). (1999)