1998 Fiscal Year Annual Research Report
部分転位の相関を考慮した拡張転位の挙動のシミュレーション
Project/Area Number |
10750477
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上村 祥史 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (40291314)
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Keywords | 塑性 / 拡張転位 / 半導体 |
Research Abstract |
半導体結晶中の転位は拡張していることが知られているにもかかわらず、その降伏現象には交差すべりが伴うことが実験的に確かめられている。 降伏応力、すなわち転位の長距離の運動を可能にする応力は、転位がバイエルス・ポテンシャルの根を乗り越えるために必要な応力である。このとき転位線はその全体が一気に尾根を越えるのではく、一部分が弓形に張り出して尾根の向こう側に届き、他の部分がそれに追従して乗り越えると考えられている。この弓形の部分をキンク対という。我々の興味は、ある応力下で熱振動によりキンク対が成され、キンク対エネルギーの鞍点を越えてその幅を無限にまで広げられるかにある。 従来、体心立方金属やイオン結晶のように転位が拡張しない物質では、キンク対エネルギーは線張近似を用いて求められ、降伏応力の温度依存性などを十分に説明してきた。ところが、積層欠陥エネギーの低い半導体や面心立方金属中の転位のように2本の部分転位に拡張している場合には、部分転間の相互作用を考慮しなければならないために、もはや線張力近似は使えない。 本研究では部分転位のキンク対の形状を簡単な形状で近似し、転位の各部分間の相互作用を考慮してキンク対エネルギーを求め、応力下での拡張転位の挙動を調べる。平成10年度は転位形状の自由度を少数に制限して予備計算を行った。少数自由度では物理的に意味ある鞍点に到達できないことがわかった。自由度を大きくすると鞍点探索が難しくなる。これを適当なパラメータ変換とアルゴリズムの工夫で解決する必要がある。
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