1999 Fiscal Year Annual Research Report
金属面内超格子の作製を目指した自己組織的薄膜成長過程の研究
Project/Area Number |
10750478
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
前 一樹 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 助手 (50293402)
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Keywords | ファセット基板 / シミュレーション / 分子動力学法 / モンテカルロ法 / RHEED |
Research Abstract |
本研究では、金属面内超格子を作製するためのテンプレートとして期待されるファセット基板上での薄膜成長について計算機シミュレーションと実験の両面から研究を行い、特に計算機シミュレーションによる研究では、新しいシミュレーション技法を開発して有意義な知見を得ることができた。 ・ナノファセット基板上での薄膜の成長様式を明らかにするため、基板温度、薄膜-基板間の格子のミスマッチ、薄膜-薄膜間及び薄膜-基板間の原子間相互作用の大きさなどの条件を変化させてコンピュータシミュレーションを行った。分子動力学(MD)法では一般的に高々ナノ秒程度までの現象しか扱えないため拡散現象を扱うのは難しい。またSolid-on-Solidモデルを用いたモンテカルロ(MC)法では乱れた構造を含む薄膜成長をシミュレートすることは難しい。本研究では現実的なシミュレーションを行うため、非平衡な成長クラスターの構造緩和をMD法で行い、熱活性過程である表面拡散をMC法で扱うMD Aided Kinetic MC法を新たに開発した。平坦な基板上で二次元的な成長が起こる条件ではファセットの山側の成長が促進され、平坦な基板上で三次元的な成長が期待される条件ではファセットの谷を埋めるように成長が進行することが分かった。 ・ファセット表面からの反射高速電子線回折(RHEED)パターンはファセットが発達するに従って、通常の再配列パターンからファセット面に垂直に伸びた斜めのストリークパターンへ変化するが、この変化が顕著となるファットのサイズを運動学的シミュレーションから明らかにした。これはRHEEDによる表面観察において有用な知見である。 ・実験的にはNaCl構造を有するTiNやMgO表面で規則的なファセット構造を得ることを試みたが、面内超格子の作製に十分なものはまだ得られていない。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Mae and T.Honda: "The computer simulations of the initial stage of the thin film growth on the nano-faceted substrate"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 24. 137-140 (1999)
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[Publications] K.Mae and T.Honda: "Growth mode variations of thin films on nano-faceted substrates"Superficies y Vacio. 9. 37-40 (1999)