1998 Fiscal Year Annual Research Report
酸素欠損ペロブスカイト型酸化物中における遷移金属イオンの酸化還元挙動
Project/Area Number |
10750486
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
加藤 純雄 秋田大学, 工学資源学部, 助手 (50233797)
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Keywords | ペロブスカイト / 遷移金属 / 熱重量分析 |
Research Abstract |
八面体サイトに遷移金属を含むペロブスカイト型酸化物、(La_<1-x>Sr_x)MnO_yおよび(La_<1-x>Sr_x)M^<3+>_<0.5>M^<4+>_<0.5>Oy組成の酸化物(La_<1-x>Sr_x)Cr_<0.5>Mn_<0.5>O_y(La_<1-x>Sr_x)Fe_<0.5>Mn_<0.5>O_yおよび(La_<1-x>Sr_x)Fe_<0.5>Ti_<0.5>O_yの合成を行い、高温における酸化・還元挙動を調べた。(La_<1-x>Sr_x)MnO_yは、0≦x≦0.7で斜方晶ペロブスカイト型相が得られた。0≦x≦0.3では、空気中、700℃以上で重量の増加が起こり、さらに高温では重量減少が起こった。窒素気流中では、この酸素を吸収する温度以上で重量減少が起こった。いずれの場合にも降温過程において重量の回復が見られ、重量の変化は酸化物中の酸素量の変化によるものと考えられた。また、AサイトのSr^<2+>置換量の増加と共にこの温度は高温側へシフトすることから、斜方晶-菱面体晶構造転移温度と対応していると推定された。BサイトにCr^<3+>を置換した、(La_<1-x>Sr_x)Cr_<0.5>Mn_<0.5>O_yは0≦x≦0.5で斜方晶ペロブスカイト型相が得られた。室温から1200℃の温度範囲ではLaCr_<0.5>Mn_<0.5>O_yではLaMnO_yで観測されたような重量変化が観測されたが、x≧0.3では大きな重量変化は観測されなかった。以上の結果より、LaMnO_yのLaおよびMnサイトへのSr,Crの置換は、斜方晶相の安定な温度領域を広げ、Mnイオンの還元に伴う酸素の脱離を抑制することがわかった。 (La_<1-x>Sr_x)Fe_<0.5>Mn_<0.5>Oyでは、酸素欠損組成となる0.6≦x≦1.0で高温で重量減少が起こり、酸素欠損量が多いほど減少量が大きくなった。一方、Mn^<4+>をTi^<4+>で置換した(La_<1-x>Sr_x)Fe_<0.5>Ti_<0.5>O_yは室温から1200℃の温度範囲では重量変化は観測されなかった。このことから、(La_<1-x>Sr_x)Fe_<0.5>Mn_<0.5>O_yにおける重量減少はMn^<4+>の還元によるものと考えられた。
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