1998 Fiscal Year Annual Research Report
アパタイトスパッタ膜の新規アニール処理による高生体活性付与
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10750499
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
濱上 寿一 東京都立大学, 工学研究科・応用化学専攻, 助手 (30285100)
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Keywords | 高周波マグネトロンスパッタリング法 / 生体活性 / ヒドロキシアパタイト薄膜 / チタン金属 / 低温アニール |
Research Abstract |
本研究では、生体活性な多結晶ヒドロキシアパタイト膜をアモルファスリン酸カルシウム膜から新規な低温アニール処理を経て得ることに成功した。通常のアニール法では、アモルファスリン酸カルシウム膜の結晶化には大気圧雰囲気下において600℃以上の高温処理を必要とする。しかしながら、生体インプラント材として臨床現場で多様されているチタン金属を基材に用いた場合、通常の高温アニール法では金属の酸化という問題がおこる。そこで、従来のアニール法とは異なる新規な低温アニールプロセスを確立する必要がある。 まず、高周波マグネトロンスパッタリング法によりチタン金属表面に厚さ5μm程度のアモルファスリン酸カルシウム薄膜を作製した。ついで、オートクレープ装置内にアモルファス試料と蒸留水を含む試験管をセットし、所定の温度と時間で高圧水蒸気雰囲気にてアニール処理を施した。X線回折装置にて膜の結晶化を追跡した結果、たかだか140℃という低温においてヒドロキシアパタイトに結晶化していることが明らかとなった。既往の報告によれば、結晶化温度には最低でも600℃を要することから本水熱アニール法がアモルファス膜の結晶化に有効な手法であることが示唆される。また、通常の高温アニール法では多結晶アパタイト膜内の水酸イオンの欠損が著しいのに対し、本法では高圧水蒸気雰囲気での処理のため膜内に水酸イオンが含まれることがFT-IRの結果から明らかとなった。本低温アニール法は成膜法がスパッタ法に限らずアモルファスリン酸カルシウム膜を結晶化させるのに適用可能と考える。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] J.HAMAGAMI et al.: "Influence of crystal growth on sputtered films of hydroxyapatite" Bioceramics. 11. 219-222 (1998)
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[Publications] M.Ohgaki et al.: "Biocomportibility and crystal gruwth of poled hydroxyapatite ceramics" Bioceramics. 11. 493-496 (1998)
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[Publications] 濱上寿一他: "加速バイオミメティック法によるセラミックスの合成法" Phosphorus letter. 34. 32-34 (1999)
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[Publications] J.HAMAGAMI et al.: "Target-composition effect on hydroxyapatite thin films coated an titanium" Journal of the Korean Ceramic Society. (1999)