1999 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカルアロイング法によるイオン伝導性カルコゲナイドガラスの作製とその特性
Project/Area Number |
10750501
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
町田 信也 甲南大学, 理学部, 助教授 (10190381)
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Keywords | アモルファス / イオン伝導体 / リチウムイオン / 非晶体 / 全固体電池 |
Research Abstract |
高いイオン伝導性を有する固体電解質材料は化学電池をはじめとする、種々の電気化学素子を全固体化するためのキーマテリアルとして注目されている。特に、硫化物系あるいはオキシスルフィド系ガラスは、比較的高いイオン伝導度を有することから有望な材料系である。しかしこれらのガラスを作製する場合、有益が高い反応性を示し、反応容器や雰囲気に制限があること、大きな冷却速度が必要であることなど問題点も多い。本研究ではこのような材料を、機械的加工力を利用するメカニカルアロイング法を用いることにより、室温で合成することを試み、得られた試料の電気化学的特性を検討した。得られた成果は次の通りである。 1.メカニカルアロイング法による銀イオン伝導性硫化物ガラスの合成と電気化学的特性 メカニカルアロイング(MA)法によりAg_2S-SiS_2系およびAgI-Ag_2S-SiS_2系ガラスの合成を試みた。その結果Ag_2S含量が0〜70mol%の広い組成域において、非晶質体が得られ、この非晶質体の結晶化温度は200℃前後であり、硫化物系としては比較的高い熱的安定性を示した。さらに、この非晶質体は室温で10^<-3>〜10^<-5>Scm^<-1>の高いイオン伝導性を示した。また、この系にAgIを添加した試料では10^<-2>Scm^<-1>を超える非常に高いイオン伝導性を示すことが明らかとなった。 2.MA法によるリチウムイオン伝導性Li_2S-SiS_2ガラスの合成とこれを用いた全固体二次電池の試作 60Li_2S・40SiS_2(mol%)の組成についてMA法による合成を試みたところ、非晶質体が得られ、室温で2x10^<-4>Scm^<-1>という高いリチウムイオン伝導性を示した。この試料を固体電解質とし、正極にLiCo_xNi_<(1-x)>O_2、負極に金属Inを用いた全固体電池を試作したところ、良好な充放電特性を示した。
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[Publications] Machida,Nobuya: "Mechano chemical synthesis of silver ion conductor in the system AgI-Ag3PO4"Solid State Ionics. (発表予定). (2000)
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[Publications] セラミックデータブック編集委員会編(分担執筆 町田信也): "セラミックデータブック(分担題目:メカニカルミリング法によるイオン伝導体の合成)"工業製品技術協会(株式会社テクノプラザ). 272(67-69) (1999)