1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10750514
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
奥崎 秀典 山梨大学, 工学部, 助手 (60273033)
|
Keywords | ポリピロールフィルム / 導電性高分子 / アクチュエータ / 人工筋肉 / 高速変形・回複 / 空中作動型 / 吸脱着 / 動的粘弾性 |
Research Abstract |
平成10年度において本研究では,電解重合により作製したポリピロール(PPy)フィルムについて電気的・力学的性質を明らかにし,気体の吸脱着による変形応答特性を調べた。実験に使用したフィルムは,モノマーとしてピロール,指示塩として過塩素酸テトラフルオロほう酸を用い,-20℃で定電流(電流密度0.125mA/cm^2)を印加することにより合成した。元素分析から算出した過塩素酸イオンのドープ比は0.34であり,四端子法による電導度は102S/cmであった。また,引張試験からフィルムのヤング率,切断強度はそれぞれ1.2GPa,80MPaであることがわかった。 PPyフィルムを長さ25mm,幅5mm,厚さ32μmの短冊状に切出し,上端5mmをチャックに固定する。純水に浸した脱脂綿をシャッター付ガラス容器に入れ,フィルム表面から2mm離して設置する。シャッターの開放とともにフィルムは素早く反対方向に屈曲する。このとき周囲のRHが低いほど大きな屈曲変位を示し,屈曲・回復速度も増加した。シャッターを閉じるとフィルムは元のまっすぐな形状に回復し,これが繰り返し何度でも起こることがわかった。ここで35%RHにおける屈曲変位は12.9mmに達し,屈曲・回復過程の初速度はそれぞれ5.8mm/s,3.9mm/sと,比較的回復も速いことがわかった。ここで,さまざまなRH雰囲気下でシャッターを開閉したときのフィルム表面近傍の相対湿度変化(ΔRH)は周囲のRHが低い程大きく,変位および応力はΔRHに比例して増加しすることがわかった。ΔRHはフィルムの両側におけるRH差に相当するため,屈曲がフィルム片側からの水分子の収着による異方的な体積膨張によって引き起こされることが明らかになった。フィルムの曲率より算出した表面の伸びは0.3〜0.4%であり,これは高分子ゲルに比べ約二桁小さい。換言すればPPyフィルムの屈曲が非常に高感度であることを意味している。実際,フィルムの劣化や動作の減衰がほとんど無く,また回復過程も速いのは,微小なフィルムの膨張・収縮が素早く起こるためと考えられる。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] H.Okuzaki: "Electrically Induced Contraction of Polypyrrole Film in Ambient Air" Journal of Polymer Science, Part B:Polymer Physics. 36. 1591-1594 (1998)
-
[Publications] H.Okuzaki: "Theoretical study of Sorption-Induced Bending of Polypyrrole Films" Journal of Polymer Science, Part B:Polymer Physics. 36. 2237-2246 (1998)
-
[Publications] H.Okuzaki: "Role and Effect of Dopant Ion on Sorption-Induced Motion of Polypyrrole Films" Journal of Polymer Science, Part B:Polymer Physics. 36. 2635-2642 (1998)
-
[Publications] H.Okuzaki: "Characteristics of Water in Polypyrrole Films" Polymer. 40. 995-1000 (1999)