1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10750526
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井藤 幹夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00294033)
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Keywords | メカニカルグラインディング / ナノコンポジット / 交換相互作用 / 残留磁化 / 希土類磁石 |
Research Abstract |
本年度では,複合磁石の構成材料にまずハード相として希土類系SmCo_5磁石を,ソフト相としてα-Feを用いて希土類系複合磁石の合成を試みた.SmCo5磁石とα-Feソフト相は異種系であり,溶解法などによってこれらを微細な混合状態にするのは困難であると思われるため,固相状態で合金化を行えるメカニカルアロイング法を用いて試料の作製を行った.メカニカルアロイングされたSmCo_5磁石とα-Feソフト相はアモルファス相となり,これを熱処理することにより微細なSmCo_5相+α-Feソフト相複合磁石の作製が可能であることが明らかとなった.TEM観察により,これらの微細結晶粒の大きさは数十nmと交換相互作用を得るのに十分微細であり,ナノコンポジットとなっていることが確認された.また,減磁曲線におけるマイナーループの測定の結果,交換相互作用によるスプリングバックが発生することを確認し,メカニカルアロイング法により異種系の混合によるナノコンポジット複合磁石の作製が可能であることを明らかにした.しかしながらメカニカルアロイング法により得られるアモルファス相を熱処理し,微細結晶粒を析出させる本作製方法では,磁気的に等方性となってしまうため,次に蒸気圧の高い希土類元素を蒸発させることによる異方性粉末の作製を試みた.SmCo_5では状態図的に複合磁石の作製が困難であるので,希土類ハード磁石としてSm_2Fe_<17>N_xを用いた.まず真空蒸発法によりSm_2Fe_<17>合金相をSm_2Fe_<17>+α-Feの状態にした後,NH_3中メカニカルグラインディングを施し,N_2中で窒化処理した.熱処理後,α-Feは粗大に析出するものの,その後のメカニカルグラインディングにより微細分散し,試料は比較的良好なスプリングバックを示し,また磁気的な異方性を有していることを確認した.
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