1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10750534
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
中村 奨 長岡工業高等専門学校, 電気工学科, 助教授 (10217854)
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Keywords | レーザー / キーホール / 加工 / 音響信号 |
Research Abstract |
本研究室におけるこれまでの研究より、レーザー溶接の際に加工部から発せられる音響信号にはkHzオーダーの信号成分が含まれていることが明らかになった。本研究ではこのkHzオーダーの音響信号の発生源を明らかにすることを目的として実験を行ってきた。軟鋼やステンレスのような工業材料を使用する限りにおいては、レーザー溶接時に生じるキーホールを直接観察することは不可能であるので、ここでは透明媒質であるグリセリン溶液にレーザーを照射して、その際生じるキーホールを高速度ビデオカメラにより直接撮影し解析した。またキーホールから発せられる音響信号もマイクロフォンにより測定した。 高速度ビデオカメラを使用して撮影したキーホール画像より、キーホールは光軸方向だけでなく半径方向に対しても伸縮していることが明らかになった。画像処理により評価したキーホール深さおよびキーホール幅の時間変動を高速フーリエ変換(FFT)により周波数成分に分離したところ、1kHz以下に主立ったピークが現れた。これに対して、キーホールから発せられた音響信号には、1-3kHz帯に大きなピークが現れた。このようにキーホール形状の変動と音響信号との間に相関は見られなかったが、この原因の一つとして画像の解像度の低さが上げられる。今回1/13500秒のシャッター速度で撮影を行ったが、このシャッター速度だと1画面が256×256ピクセルの大きさになってしまい、壁面の細かい振動までは拾うことができなかった。しかしながら、グリセリンに生じたキーホールから発せられた音響信号のFFT解析結果と、これまでに計測されたステンレスからの音響信号のFFT解析結果とは非常に類似の傾向を示していた。したがって、媒質が異なっていても音響信号の発生源は同じところにあるものと考えられ、これに関しては今後の検討課題である。
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