1998 Fiscal Year Annual Research Report
湿潤粉粒体モデリングによる生型造型プロセスの挙動解析と造型形状の予測
Project/Area Number |
10750540
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前田 安郭 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (10240813)
|
Keywords | 離散要素法 / DEM / 数値シミュレーション / ブロー造型 / 生型砂 / 粉体充てん / 応力場解析 / 充てん密度 |
Research Abstract |
本年度は、代表的な造型プロセスであるブロー造型を対象として、珪砂のまわりを膨潤したベントナイト層が被覆する実際の現象を忠実にモデル化したハードコア・ソフトシェル要素を提案して湿潤粉粒体のモデリングを行い、離散?要素法(Distinct Element Method)により、生型造型プロセスの挙動解析と造型性状の予測を試みた。なお、今回対象とした生型砂は、新砂(フラタリー珪砂)にベントナイト(ボルクレー)を10%と適量の水分を添加して、シンプソンタイプの混練機にてコンパクタビリティ(CB)値を40%に調節したものである。 DEMによる湿潤粉粒体のモデリングでは、ハードコア・ソフトシェル要素を構成するバネーダッシュポット、及び粘着力に対して、システム同定モデル、すなわち、生型砂の標準試験片作製方法と同様の現象をシミュレートして各種パラメータを同定する方法を提案した。 得られたパラメーターを用いて、ブロー造型に対し圧縮空気圧を変化されて造型シミュレーションを行い、高速度ビデオによる充てん挙動の観察実験結果と比較した。シミュレーション結果は、生型砂のマガジンからの噴出挙動、キャビティへの充てん挙動、圧縮空気圧力の影響などマクロ的な現象おいて、実験結果と一致した。さらに、シミュレーション結果は、ブロー造型時の噴出速度や噴出質量の経時変化、粒子個々の軌跡、空気の流れなど、実験では観察や測定が困難な現象を視覚的に表現できた。また、生型砂充てん時の空気流と粒子の速度ベクトル、流体抗力と接触力が解析できた。これにより、ブロー造型においては、慣性力(衝突)による充てん支配領域と、圧力差(流気)による充てん支配領域とが存在し、特に流気による充てん域は低密度となることが示された。
|
-
[Publications] 牧野泰育 他: "ブロー造型における直方体キャビティへの生型砂充てんの数値解析" 鋳造工学. 70巻7号. 459-464 (1998)
-
[Publications] H.Makino et al.: "Numerical Analysis of Blow Molding using Distinct Element Method" Congress Papers on 63rd World Foundry Congress. 24-1-24-14 (1998)