1998 Fiscal Year Annual Research Report
流れの可視化と数値シミュレーションによる対流伝熱係数の異常低下現象の解明
Project/Area Number |
10750541
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西岡 浩樹 九州大学, 工学部, 講師 (80294891)
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Keywords | 対流伝熱係数 / 充填層 / 充填構造 / 数値シミュレーション / 剥離点 |
Research Abstract |
充填層の中に置かれた球形粒子-液体間の対流熱伝達係数を77≦Re≦2000の範囲で測定した。本研究による,充填層内における球形粒子-流体間の対流伝熱係数の測定値は,従来提案されている推算式から求めた推定値よりかなり低い値を示した。そこで充填層内の粒子周りの流れ場を観察するために,流れの可視化を行った。また充填層内の着目粒子近傍の温度分布および速度分布を数値シミュレーションにより求めた。 着目粒子の上流に存在する隙間を通過することにより,粒子直前の流速はバルク流速の数倍に加速される。充填層が最密充填構造をとる場合には,固-液対流伝熱係数の測定値は推定値と良い一致を示した。これに対して,着目粒子の近傍に空間が存在する場合には,空間の存在形態により着目粒子周辺の流体は異なる挙動を示した。 充填層が粒子の前方にのみ存在し、側方と後方に空間が存在する場合は、加速された流体は着目粒子に衝突した後、着目粒子に沿わずに粒子から剥離する。そのため粒子-流体間の対流伝熱への寄与は最密充填状態と比較すると、着目粒子の前面が主体となり、側面および背面の寄与は著しく低下する。 充填層が粒子の前面と背面に存在し、側方に空間が存在する場合は、流体は着目粒子に衝突した後,一部は着目粒子直後に存在する隙間に流れ込むが,大部分は着目粒子より離れ,周辺の隙間へ流れ込む。このため,前方のみに充填層が存在する場合と比較すると,幾分対流伝熱係数の上昇が確認されるが,最密充填状態と比較すると小さな値を示す。 以上の結果より,充填層内における球形粒子-流体間の対流伝熱係数を低下させる原因は,着目粒子近傍に存在する空間,特に粒子の側面に存在する空間であることが分かった。
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