1999 Fiscal Year Annual Research Report
電場利用によるスラグからの金属およびマット液滴の分離
Project/Area Number |
10750542
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
高須 登美男 九州工業大学, 工学部, 講師 (20264129)
|
Keywords | 液滴 / 製錬プロセス / 界面現象 / 回収率 / 界面張力 / 電位勾配 / 分離 / マランゴニ対流 |
Research Abstract |
各種金属の乾式製錬プロセスにおいて、スラグからの金属およびマットの分離は有価金属の回収率を決める一つの主要な要因となっている。電場印加により界面張力勾配を形成させることで液滴周りにマランゴニ対流を生じさせ、その結果として液滴を移動させて分離特性を向上させることが考えられる。分離特性を向上させるための最適条件を見出すためには、液滴の移動機構を明らかにするとともに界面張力の電位依存性を明らかにする必要がある。高温融体の界面張力電位依存性を測定する装置を設計するための基本指針を得ることを目的として、水溶液系で滴下電極を用いた模型実験とその理論解析をおこなった。毛細管から水溶液中へ滴下する金属滴に電場を印加して、液滴が形成される過程の形状および表面状態を観察するとともに電流測定をおこなった。その結果、設定電位により滴下挙動が大きくことなることが明らかとなった。アノード極においては、滴下時間間隔および一滴当たりの体積の増加が認められた。また界面においては酸化膜が形成されることが分かった。一方、カソード極においては、液滴表面が金属光沢を呈し、電圧の絶対値を大きくすると滴の体積、落下時間間隔ともに減小し、界面張力が低下していることが確認された。印加電圧が高い場合には、水溶液と滴との界面近傍において流動が観察された。これは、界面張力勾配を駆動力とするマランゴニ対流であると推察された。さらに、電圧が零のときにも滴の成長にともなって微小な電流が流れていることがわかり、陰イオンが界面に特異吸着しているものと考えられた。毛細管内の粘性力、重力、外圧および界面張力の釣合いから液滴の成長速度を理論的に導出した。計算値は実測値とよく一致し、毛細管の径、長さ、液高さ、外圧で成長速度を制御できることを明らかにした。以上の知見を用いて高温測定装置の設計を実施した。
|