Research Abstract |
本研究は,100℃以下の未利用低温廃熱を駆動熱源として冷熱生成を行う吸着ヒートポンプの高性能化を図るために,その内部に組込む吸着系(冷媒吸着質/蓄熱吸着材)を多成分(マルチコンポーネント)化するものである.本年度は,粒状シリカゲル(SG)2種類,粒状活性炭(AC)1種類,繊維状活性炭(ACF)5種類の計8種類の吸着材を用意し,水,エタノール,メタノール,プロパノール,アセトンの各蒸気の吸着特性を調べた結果,以下に示す知見を得た. (1) 8種類の試料吸着材に対する窒素吸着平衡結果より,B.E.T.比表面積はSG<AC<ACFの順に大きく,セルロースを主原料とするACFでは1420m^2・g^<-1>であった.一方,細孔容積はSG<ACF<ACの順に大きく,平均細孔径は何れの吸着材とも概ね2nm以下であった. (2) 吸着温度30℃におけるアセトン,1-プロパノール,2-プロパノールの各吸着材に対する蒸気吸脱着平衡から,何れの吸着材においても低圧力域でこれっらの吸着質蒸気を多量に吸着することが明らかとなった.しかし,その脱着再生には極低圧力条件が必要となるため,通常の吸着ヒートポンプ操作にはこれらの吸着質の適用は困難と判断した. (3) 粒状および繊維状活性炭は,何れの場合でも相対圧約0.5を越える圧力範囲で水蒸気を多量に吸着し,吸脱着のヒステリシスを示す.一方,シリカゲルは,水,エタノール,メタノールの蒸気を相対圧0.05〜0.6の範囲で良好に吸着および脱着すること分かった.なお,各吸着材に対する蒸気吸着量はその比表面積に大きく依存し,本研究では,819m^2・g^<-1>のSGと水-メタノール混合吸着質の組合せが吸着ヒートポンプの有望な吸着系になり得ると考えられる. (4) メタノール水溶液/SG系の非定常吸着過程では,低沸点成分のメタノールの蒸気吸着が支配的となり,相変化潜熱の大きな水蒸気の吸着があまり進行せず,脱着過程でも同様な傾向を示すことが明らかとなった.
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