1998 Fiscal Year Annual Research Report
生物的進化戦略を利用した化学反応場の最適混合パターンの創出
Project/Area Number |
10750547
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大村 直人 神戸大学, 工学部, 助手 (50223954)
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Keywords | マクロ混合 / ミクロ混合 / 非線形現象 / 生物的進化戦略 / 最適混合 / 反応プロセス / 自励振動現象 / 分岐特性 |
Research Abstract |
本研究では、反応装置内のマクロ的な現象はマクロおよび、ミクロな混合を制御することで制御可能であるという観点に立ち、生物的進化戦略である自然淘汰の原理に基づいた遺伝的アルゴリズムを組み込むことにより、最適混合場を設計することを目的としている。本年度はミクロ混合の素反応過程間の相互作用に及ぼす影響とマクロ混合の局所反応の空間相互作用に及ぼす影響を完全混合槽型反応器および、テイラー渦流反応器を用い、非線形化学反応(BZ反応と過酸化水素水とヨウ素を用いた2次反応)により調べた。この非線形化学反応に及ぼす流動・混合効果を明らかにするために、前段階として複雑な流動遷移の分岐特性を有するテイラー渦流反応器の不安定性と物質移動・混合に対する履歴現象の影響について観察した。また、反応の非線形自体の生産物特性に及ぼす効果も調べる必要が生じ、これについて、酢酸ビニルの連続乳化重合に生じる重合率の自励振動現象とこの時得られるラテックス粒子の粒径分布の変化を観察した。なお、当初の目的であった瞬間反応とこれより反応速度がはるかに遅い反応の2つが同時に起こる並行反応を用いた研究も結果は未整理であるが進行中である。現段階では以下のような成果を得た。1.非線形化学反応系に生じる自励振動現象は、反応を急激に進行させる活性化因子と反応を阻害する抑制因子の相互作用により生じ、これをうまく利用することでラテックス粒子の粒径分布などの生産物特性を制御することが可能である。 2.自励振動現象などの化学反応の非線形現象は反応器内のマクロおよび、ミクロな混合特性に大きく影響を及ぼされることが分かった。さらに、マクロおよび、ミクロな混合の空間的な不均一さが反応を安定化する場合と不安定化する場合の両方に働くことを見出した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] N.Ohmura: "Intercellular mass transfer in wavy/turbulent Taylor vortex flow" International Journal of Heat and Fluid Flow. 19(2). 159-166 (1998)
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[Publications] N.Ohmura: "Controlling particle size by self-sustained oscillations in continuous emulsion polymerization of vinyl acetate" Chemical Engineering Science. 53(12). 2129-2135 (1998)
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[Publications] 大村直人: "CSTRにおけるベローゾフ・ジャボチンスキー反応の濃度振動に及ぼす反応器の容積効果" 化学工学論文集. 25(発表予定). (1999)