1998 Fiscal Year Annual Research Report
動物細胞の低タンパク無血清培養と分離型バイオリアクターによる有用物質生産の効率化
Project/Area Number |
10750559
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山地 秀樹 神戸大学, 工学部, 助手 (40283874)
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Keywords | 動物細胞培養 / 無血清培地 / CHO細胞 / ホスファチジン酸 / リゾホスファチジン酸 / 浮遊化培養 |
Research Abstract |
動物細胞培養による有用タンパク質の高効率生産プロセスを構築することを目的として,遺伝子組換えの宿主として現在広く利用されている Chinese hamster ovary (CHO) 細胞を用いて,1) 有用タンパク質の分離精製が容易な低タンパク質無血清培地,および,2) 培養のスケールアップが容易な付着性細胞の浮遊化培養技術,を確立するための基礎的な検討を行った. タンパク質含量の少ない無血清培地の開発に関しては,α-MEN などの基本合成培地やこれらにinsulin,transferrin などを添加した無血清培地にホスファチジン酸(PA)やリゾホスファチジン酸(LPA)などのリン脂質を添加すると,いずれも CHO 細胞の増殖が促進されたことから,PA や LPAが CHO 細胞の増殖促進因子として利用可能であることを確認した.また,アシル基の異なる種々のPA や LPA を用いて CHO 細胞の増殖促進効果を比較したところ,oleoyl 基(C18:1)などの不飽和のアシル基を有する PA や LPA が最も顕著な細胞増殖促進効果を有することがわかった.同じ oleoyl 基を有する dioleoyl-PA と 1-oleoyl-LPA を比較すると,これらはほぼ同等の細胞増殖促進効果を有し濃度依存性についてもほぼ一致していることが見出された. また,付着性細胞の浮遊化培養技術の開発に関しては,MTT assay を利用して細胞の浮遊化率を定量的に測定することにより,付着性細胞の浮遊化促進効果を有する物質を探索した.無血清培地を用いて培養中の CHO 細胞に,牛血清アルブミン,卵黄リポプロテイン, Pluronic F-68(非イオン性界面活性剤)などを添加すると細胞の浮遊化が促進されることがわかった.
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