1998 Fiscal Year Annual Research Report
低炭化度炭および風化炭の高濃度石炭-水スラリー燃料への利用
Project/Area Number |
10750570
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中島 常憲 鹿児島大学, 工学部, 教務職員 (70284908)
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Keywords | 低炭化度炭 / 風化炭 / 脱水処理 / 水熱反応 / 示差走査熱量計 / 結合水 / 高濃度石炭-水スラリー燃料 / スラリー化特性 |
Research Abstract |
低石炭化度炭は瀝青炭などの高石炭化度炭と比較して、比表面積が大きくまた表面に親水性官能基が多く存在するため、水分含有量が多く取り扱いにくい。また、高濃度の石炭-水スラリー燃料(CWM)を調製することは困難である。そこで、低石炭化度炭からの不可逆的な脱水を行い石炭表面の親水性を減少させる方法として、水熱処理法が提案されている。 本研究では、低石炭化度炭を水熱処理法にて改質し、CWMの原料として用いることを試みた。まず、数種の低石炭化度炭(褐炭)に対して、オートクレープを用いて水熱処理を行った。処理炭について、FT-IRによる石炭表面の親水性官能基の定量を行った結果、処理温度300℃以上ではカルボキシル基の減少が顕著に見られた。また、CO_2吸着を用いBET法による比表面積を算出したところ、処理温度350℃では原炭よりも比表面積が減少した。次に示差走査熱量計(DSC)を用いて、石炭粒子表面の結合水量の定量を行った。水熱処理温度の上昇とともに結合水量は減少し、特に300℃以上では瀝青炭並の結合水量であった。これは、表面のカルボキシル基減少と大いに関係があると思われる。また、原炭および水熱処理炭を用いて実際にCWMを調製すると、350℃処理炭ではスラリー化特性が大幅に改善され、最高石炭濃度は約30wt%上昇し、安定性も向上した。しかしながら、CWMを調製する際に添加する添加剤量は通常の瀝青炭を用いた場合に比べ2〜3倍必要であることが分かった。水熱処理炭CWMに最適な添加剤の選択が必要である。 今後は、上記に述べたように、水熱処理炭CWM調製の最適条件、特に添加剤の検討や、水熱処理における表面コーティング剤の添加についても検討を重ねたい。また、低石炭化度炭だけでなく風化炭のCWMへの利用も検討する。 尚、本年度の研究成果は第35回石炭科学会議(つくば)にて発表されている。
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