1999 Fiscal Year Annual Research Report
固定化プロテアーゼ阻害剤を利用した昆虫細胞-バキュロウイルス発現プロセスの効率化
Project/Area Number |
10750571
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
後藤 猛 秋田大学, 工学資源学部, 講師 (10215494)
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Keywords | 昆虫細胞 / バキュロウイルス / プロテアーゼ / プロテアーゼ阻害剤 |
Research Abstract |
昆虫細胞/バキュロウイルスたんぱく質発現系は、遺伝子組換えバキュロウイルスを昆虫細胞に感染させて翻訳後修飾されたタンパク質を生産する方法であり、哺乳動物タンパク質の大量生産方法として注目されている。しかし、この発現系において同時に生成するプロテアーゼに対して感受性が強いタンパク質の場合にはその分解も平行して起こり、結果的に目的タンパク質が全く生産されない例も報告されている。本研究は、本発現系によるタンパク質生産効率の向上を目指した研究の一環として、プロテアーゼ阻害剤による活性抑制と阻害剤固定化担体によるプロテアーゼの吸着除去の可能性について検討したものである。 はじめに、培養液に蓄積したプロテアーゼに対して、4種類に大別されるプロテアーゼファミリー阻害剤の阻害効果を調べた。その結果、カルボキシルプロテアーゼ阻害剤(ペプスタチンA)とシステインプロテアーゼ阻害剤(E64、シスタチン)が活性抑制効果を示し、さらにその相加性等の検討により、本発現系では主にカルボキシルプロテアーゼとセリンプロテアーゼの2種類が生成することが分かった。 次に、この2種類のプロテアーゼ阻害剤を利用して各プロテアーゼの活性を分離し、培養中におけるそれぞれの経時的挙動を調べた。その結果、システインプロテアーゼはウイルス由来であり、感染後24時間頃から細胞内で増加して60時間で最大となり、その後、培地へ漏出して蓄積することが分かった。一方、カルボキシルプロテアーゼは昆虫細胞由来であり、細胞内に蓄積することは無く、培養期間中、培地中に蓄積し続ける事がわかった。 最後に、シスタチンとペプスタチンAをそれぞれTSKgel AFトヨパール650に固定化し、プロテアーゼの吸着能を調べた。その結果、各プロテアーゼはこの阻害剤固定化担体に吸着され、培養液からプロテアーゼを除去できることが確認できた。
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