1999 Fiscal Year Annual Research Report
電子メディエーター機能を持たせた修飾補酵素による酵素センサーシステムの構築
Project/Area Number |
10750572
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
木島 龍朗 山形大学, 工学部, 助手 (50272084)
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Keywords | 補酵素 / NAD^+ / メディエーター / フェロセン / サイクリックボルタンメトリー / 酵素センサー / 修飾 |
Research Abstract |
【1】フェロセン修飾補酵素の合成 補酵素NAD^+へ電子メディエーター部分としてのフェロセニルアミン誘導体をアミド結合を介して分子導入することに成功した.合成方法としては,まず補酵素NAD^+と無水コハク酸とから,アデニン環の6-NH_2位へコハク酸を結合させ,Succinyl-NAD^+を合成し,末端をカルボン酸として得た.次にフェロセンのアミン(2-アミノエチルフェロセン)を反応条件の温和なDCC法を用いてSuccinyl-NAD^+にアミド結合でフェロセンを導入した. 【2】フェロセン修飾補酵素の活性評価 フェロセン修飾NAD^+,ADH(アルコールデヒドロゲナーゼ)を用いたエタノールの酸化反応を行い,UV-VISスペクトルでNADHの生成を見た.その結果,340nmにNADHの特性吸収が見られ,補酵素が修飾後も機能を保持していることを確認した.さらに同反応系にシクロヘキサノンを加えて,還元反応とのカップリングを行い,適時GCにてサンプリングを行い,Linweaver-bulkプロットにより反応初速度を求めた.その結果,修飾補酵素は0.16(μmol/min・mg)で,native NAD^+:0.23(μmol/min・mg)に比ベ,若干の反応初速度の低下が認められた.これは修飾後の立体障害が原因と考えられる. 【3】電気化学的特性の評価 電気化学分析システム(CS-1090A:東亜電波工業)を用いて,ADH,フェロセン修飾NAD^+,エタノールによる酵素センサーモデル系を作成し,その電気化学的特性をサイクリックボルタンメトリーにより調べた.その結果,基質のエタノール存在下で,酸化電流値の増幅が見られた.またメディエーターとNAD^+をそれぞれフリーで使用する従来のセンサー系に比べて2倍以上速い応答性を示した.今後,さらに他の酵素への展開を進める予定.
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