1998 Fiscal Year Annual Research Report
硫酸還元菌由来のヒドロゲナーゼとチトクロームc_3との間の電子移動過程の解明
Project/Area Number |
10750574
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
蒲池 利章 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (30272694)
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Keywords | ヒドロゲナーゼ / チトクロームc_3 / 硫酸還元菌 / Desulfovibrio / 電子伝達複合体 / 鉄-硫黄クラスター / ニッケル鉄中心 / ヘム |
Research Abstract |
本研究はヒドロゲナーゼとチトクロームc_3との間の電子移動速度に対するチトクロームc_3の電荷の影響及び、チトクロームc_3とヒドロゲナーゼの電子移動部位に存在するアミノ酸の同定を目的としている。 まずチトクロームc_3とヒドロゲナーゼの間の電子移動速度をストップトフローを用いて測定した。あらかじめ過剰量のジチオナイトを用いて還元したチトクロームc_3によるヒドロゲナーゼの還元反応を測定した結果、見かけの速度定数は110s-1であった。またまた人工の基質であるメチルビオローゲンを用いて同様の事件を行った結果、見かけの速度定数は0.1s-1と求められた。このことから天然の基質であるチトクロームc_3はヒドロゲナーゼとの間で効率の良い電子伝達が可能であることが分かった。 チトクロームc_3とヒドロゲナーゼが効率よく電子伝達することが分かったので、ヒドロゲナーゼとチトクロームc_3との電子伝達複合体に関与する電荷の効果について検討した。チトクロームc_3は塩基性のタンパク質であるためチトクロームc_3中の主要な塩基性アミノ酸であるリジン残基の化学修飾を試みた。修飾剤として2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム(TNBS)を用いた。修飾後、イオン交換クロマトグラフィーにより精製した。飛行時間型質量分析計で質量分析を行った結果、一つのリジン残基が修飾されていることが分かった。このTNBS修飾チトクロームc_3とヒドロゲナーゼとを組み合わせた水素発生反応の結果、TNBS修飾チトクロームc_3を用いた場合、未修飾のチトクロームc_3に比べ活性が低下することが分かった。これは修飾されたりジン残基がヒドロゲナーゼとの電子伝達に重要な役割を果たしているためであると考えられる。
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[Publications] Yutaka Amao: "Photoinduced hydrogen evolution with hydrogenase and water soluble viologen-linked zinc porphyrins" J.Porphyrins Phthalocyanines. 2. 201-207 (1998)
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[Publications] Toshiaki Kamachi: "Effect of Cu(II) on hydrogenase activity from Desulfovibrio vulgaris (Miyazaki)." Bull.Chem.Soc.Jpn. 71. 455-457 (1998)
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[Publications] Tomohiro Hiraishi: "Preparation and characterization of bisviologen-linked ruthenium(II) complexes" J.Photochem.Photobiol.A: Chemistry. 116. 119-125 (1998)
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[Publications] Tomohiro Hiraishi: "Photoinduced hydrogen evolution with bisviologen-linked ruthenium(II)" J.Mol.Catal.A: Chem.138. 107-113 (1998)