1998 Fiscal Year Annual Research Report
難吸収生理活性物質の腸管吸収速度を制御するための培養細胞を用いたモデリング
Project/Area Number |
10750575
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 幸敬 京都大学, 農学研究科, 助手 (70211878)
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Keywords | 中鎖脂肪酸 / 吸収速度制御 / モデリング / 難吸収性物質 / 培養細胞 / Caco-2 |
Research Abstract |
中鎖脂肪酸の有する、難吸収性生理活性物質の吸収促進機構の量的なモデリングを目的として、本年度は以下の項目について研究を実施した。 1) 吸収促進能の発現と中鎖脂肪酸の蓄積・透過過程の解析 メンプランフィルター上に生育させたCaco-2細胞の腸管側からデカン酸ナトリウム塩(C10)を種々の濃度で作用させ、細胞層を隔てた電気抵抗(TER)を測定して、吸収促進の効果を測定した。またC10を除いた後のTERを追跡することにより、細胞の回復過程をモニターした。促進効果は濃度と作用時間に依存し、回復可能な濃度領域と作用時間が存在することが明らかになった。C10はデカン酸モノグリセロールやヘキサ酸ジグリセロールと比べて、効果が大きいが回復しやすい特長を有することも明らかにした。 C10そのものの細胞層への蓄積・透過過程をオクタン酸(C8)、ドデカン酸(C12)と比較した。C10とC8は同程度の速度で細胞層に浸入し、その蓄積量は同程度の分配係数で整理できた。C12はC10よりも速く細胞層に浸入し分配係数も大きかった。C12は、細胞層の透過係数も小さく、細胞内に蓄積されやすいことが示唆された。現在、浸入速度の解析を行っており、C8,C10,C12各物質の浸入蓄積過程をシミュレートするモデルを構築する予定である。 2) 分子量の異なる難吸収性物質の透過様式の解析 分子量376の蛍光剤と分子量4,000〜150,000の蛍光デキストリンを用いてC10の吸収促進効果を測定した。分子量の小さいものほど短い作用時間で促進効果が現れた。 3) 腸溶性カプセルの調整条件の検索 購入したロータリーエバポレーターを用いてゼラチンカプセル調整条件を検索しているが、良好な条件は得られていない。次年度には、引き続き検索を続けるが、業者に受注することも考慮する。
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