1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10750579
|
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉見 靖男 芝浦工業大学, 工学部, 講師 (30267421)
|
Keywords | 神経細胞 / 膜電位 / アメフラシ / 光化学反応 / 色素 / 一重項酸素 / 神経節 / 刺激法 |
Research Abstract |
平成10年度は、光照射によって膜電位を変化させる条件の特定を試みた。 最初に神経細胞の膜電位を安定してモニタリングできる実験環境を構築した。電気的に遮蔽された実験ベンチを作製し、その中に、膜電位増幅器とオッシロスコープを設置した。 米国産アメフラシ(Aplysia Californica種)を塩化マグネシウムで麻酔・弛緩した後、切開して頭部神経節を摘出した。頭部神経節を覆う結合組織を、実体顕微鏡下でハサミによって除去し、神経細胞を露出させた。増幅器に接続された微小ガラス電極を、露出した神経細胞に穿刺し、膜電位変化をオッシロスコープによってモニタリングした。有効に穿刺されているか否かは、電極を介した電気刺激に対する膜電位変化の有無によって確認した。 膜電位が有効にモニタリングされていることを確認した後、神経細胞を色素であるメチレンブルーで染色した。メチレンブルーで染色された神経細胞に、ハロゲンランプの光を照射すると、膜電位の増大が見られた。これは、メチレンブルーの光増感作用によって発生した一重項酸素が、神経細胞膜を穿孔し、そのイオン透過性を増大させたためだと思われる。しかし、10秒以上連続して光照射すると、神経細胞が死滅した。長時間照射による死滅の原因は、神経細胞膜の過度の損傷にあると思われる。今後は、至適照射時間を同定する方針である。また、メチレンブルーの最大吸光波長と同波長の半導体レーザー光を照射した場合には、膜電位に変化が見られなかった。 細胞膜に吸着したメチレンブルーの吸光波長が短波長側にシフトしたためと思われる。今後、膜電位に変化を生じさせる至適照射波長を同定する。
|