1998 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー励起蛍光法による周期信号発生とフーリエ変換を利用する超高感度分析法の開発
Project/Area Number |
10750585
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金田 隆 九州大学, 工学部, 助教授 (20243909)
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Keywords | レーザー励起蛍光分析 / キャピラリー電気泳動 / 周期信号 / フーリエ変換 / アダマール変換 / サンプルゲーティング法 |
Research Abstract |
レーザー励起蛍光法による周期信号の発生のために、サンプルゲーティング法を用いるキャピラリー電気泳動・レーザー励起蛍光検出装置を開発した。光源であるアルゴンイオンレーザー(5145nm)をウェッジ板によりゲーティング光とプローブ光とに分岐させ、キャピラリー上に集光した。ゲーティング光の光路にはコンピューターにより制御されたオートシャッターを置き、シャッターの開閉を行うことで試料導入を制御できるようにした。キャピラリー中を流れる蛍光物質は、シャッターが開いているときにはゲーティング光により光分解され、シャッターを閉じたときのみ試料導入され検出部に達する。周期的にシャッターの開閉を行うことで、周期信号を発生させることに成功した。そこで、1×10^<-8>Mフルオレセインを含む5×10^<-3>M炭酸緩衝溶液(pH9.3)を流し、0.5秒間単一の試料導入を行った場合とアダマール変換(n=2.55)を用いた場合の結果について比較を行った。アダマール変換のためのコードに従って試料を導入し、疑似ランダムな配列で試料導入を行い、得られた信号をアダマール変換したところ、単一の試料導入を行った場合に比べ、約8倍S/N比を向上できた。アダマール変換によるS/N比の改善率は次式で表される。 (n+1)/2√<n> (1) 実験により得られた結果は理論値(8.02)とよく一致している。すなわち、試料の導入回数、nを増加させることで、S/N比を大きく向上できることを示している。以上の結果は本研究で開発したアダマール変換・キャピラリー電気泳動法の有用性を示すものである。
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