1998 Fiscal Year Annual Research Report
高性能アンモニウムセンサーおよび1 〜3級アミン識別センサーの開発
Project/Area Number |
10750587
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
森内 隆代 (川上 隆代) 大阪工業大学, 工学部, 講師 (60288751)
|
Keywords | ピラゾール / 大環状アザクラウンエーテル / アンモニウムイオン選択性 / イオン選択性電極 |
Research Abstract |
人間の代謝に関連したり多くの酵素触媒反応の生成物であるため、臨床医学や環境分析のような様々な分野での応用に向けてのNH_4^+分析に対する興味は非常に増加している。NH_4^+の定量法としては原子吸光法,抽出法等があるが、液膜型電極(イオン選択性電極(ISE電極))を用いる電位差測定法は簡便かつ迅速に測定が可能であるので実用的な手法の一つである。実際、抗生物質ノナクチンを感応物質として用いたISE電極がNH_4^+用ISE電極として市販されている。しかし、この市販のISE電極でさえ、イオン半径が最も類似するK^+イオンに対しては約9倍の感度しか有しておらず、K^+,Na^+といった妨害イオンに対する高性能NH_4^+センサーの開発が切望されている。これまで研究されたISE電極用のNH_4^+キャリアーの数は非常に少なく、また、ノナクチンやマナクチンといった大環状テトロリド系抗生物質をイオノフォアとして用いるものが殆どであるため、これらのNH_4^+に対する識別能には殆ど差がなかった。本研究では、窒素原子が酸素原子よりもアンモニア/アミン類に対して強い水素結合を形成する事に着目し、高性能NH_4^+センサーのイオノフォアとして窒素化合物であるピラゾール環を有する大環状クラウンエーテルを合成しISE電極による性能評価を行った。大環状化合物のイオノフォアとしての性質は、結合原子の性質や数,空間構造などの因子に支配されることが知られている。そこで、本研究では12種類の含ピラゾール大環状クラウンエーテルを合成し、それらのNH_4^+選択能について詳細に調べた。その結果、(1)NH_4^+との錯形成にピラゾール環のsp^2窒素原子とカルボニル基が本要な役割を果たしていること、(2)sp^2窒素原子に隣接するsp^3窒素原子上の置換基は立体障害により(1)の錯形成を妨げるので小さな水素置換基が適していること、(3)クラウンエーテルの環構成員数としてはアンモニウムイオン半径と類似の環半径を有する18員環が最も適していることが明らかとなり、抗生物質ノナクチンを用いるISE電極の約2倍のイオン識別能を有するISE電極の開発に成功した。
|