1998 Fiscal Year Annual Research Report
低温希ガスマトリックス単離法による次世代フロン化合物の反応性に関する研究
Project/Area Number |
10750596
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
駒口 健治 広島大学, 工学部, 助手 (80291483)
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Keywords | ヒドロ化フロン化合物 / 電子構造 / 電子スピン共鳴分光法 / 低温固相マトリックス単離法 |
Research Abstract |
今年度は、エタン型ヒドロ化フロンのモデル分子であるフルオロエタン(CH_3CFH_2)のカチオンラジカルの電子構造および反応性をESR法と非経験的分子軌道計算法を用いて検討した。CH_3CFH_2^+のESRスペクトルは、18.9mT(^<19>Fx1)と1.7mT(^1Hx2)の超微細構造からなる。このCH_3CFH_2^+のスペクトルは、CD_3CFH_2^+のスペクトルと本質的に同じ線形であることから、フルオロエタンカチオンラジカルでは、不対電子は、FおよびFの結合した炭素に局在化していると考えられる(SOMO:a")。この帰属は、密度関数法を用いた非経験的分子軌道計算法の結果からも支持された。さらに、CH_3CFH_2^+は、昇温に伴い1位のFおよびHが脱離した中性ラジカル(CH_3CH_2^-およびCH_3CHF^-)に転換することがわかった。なお、これらラジカル種の生成比(CH_3CH_2^-:CH_3CHF^-)は、7:3であった。 来年度は、ClおよびBrの一置換体およびハロゲンを複数個導入したヒドロ化フロン化合物イオンラジカルの電子構造および反応性をESR法と理論計算法を用いて検討する予定である。また、今年度の研究でわかったCH_3CFH_2^+からCH_3CH_2^-が生成する反応は、F^+が脱離する単純な機構で起こるとは考えにくい。そこで、2種の中性ラジカルの生成比に及ぼす親分子濃度等の検討を行う。以上のESR結果を総括することにより、モノ-およびジ-ハロゲン化ヒドロ化フロンの初期分解反応の素過程に関する分子レベルの知見が得られると期待できる。
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Research Products
(1 results)