1998 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒を用いた芳香族化合物へのアルキル基導入の新手法の開発
Project/Area Number |
10750611
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
垣内 史敏 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70252591)
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Keywords | ルテニウム触媒 / C-H結合切断 / C-C結合生成 / 芳香族ケトン / 芳香族イミン / 芳香環アルキル化 / オルト位選択的 / 触媒特異的反応 |
Research Abstract |
炭化水素の炭素-水素結合を切断しそこに新たな結合を形成することが可能となれば、有機合成上極めて有用な合成手段と成り得る。本研究では、配位性官能基の遷移金属への配位を利用したに炭素-水素結合切断、続く炭素-炭素不飽和結合への付加反応が、効率良く進行する触媒系の開発を目指した。具体的には、遷移金属へ配位する官能基としてカルボニル基を取り上げ、種々の芳香族カルボニル化合物とオレフィンおよびアセチレン類との反応を検討し、芳香環のアルキル化およびアルケニル化の新手法を開発した。 平成10年度は、種々の遷移金属錯体を合成し、それらの触媒能を検討し、反応条件の最適化を図った。また、本反応に用いることのできる基質の適用範囲の拡大を目指し、置換基が反応性、および選択性におよぼす影響を系統立てて調べた。その結果、芳香族カルボニル化合物とオレフィンとの反応では、RuH_2(CO)_2(PPh_3)_3錯体が高い触媒活性を示し、芳香族イミン類との反応では、RuH_2(CO)_2(PPh_3)_3錯体も触媒活性を示したが、Ru_3(CO)_<12>錯体が最も高い触媒活性を示すことを見出した。このような官能基に対する触媒の活性の差を利用して、触媒特異適反応の達成できることを見出した。分子内にカルボニル基とイミノ基を有する基質を用い反応を行った場合、Ru(CO)_2(PPh_3)_3を触媒に用いると、カルボニル基のオルト位のみでカップリング反応が進行した。また、Ru_3(CO)_<12>を触媒に用いた場合には、イミノ基のオルト位のみでカップリング反応が進行した。この様に触媒と官能基の組合せを選択することにより、触媒特異的にアルキル基が導入できる新しい手法を見出した。 本年度の研究成果は、当初目標としていた内容をほぼ達成できたと思われる。
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Research Products
(1 results)