1998 Fiscal Year Annual Research Report
発色団を有するピンセット型分子素子の開発に関する研究
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10750613
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
澤田 剛 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (90240902)
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Keywords | メタシクロファン / 分子ピンセット / ニトロ化 / X線結晶構造解析 / アゾ基 / ジヒドロピレン |
Research Abstract |
[2.2.2]メタシクロファンを反転した芳香環で発色団を挟んで結合することにより、スペーサー部位に発色団を有する、新規なピンセット型分子素子の創製を計画した。本年度は発色団の設計とピンセット型分子素子の合成を行った。 1) tert-プチル基を保護基として用いる硫黄法により、芳香環を3個有する[2.2.2]メタシクロファン類、[2.2]メタシクロファン類を合成した。それぞれクロロメチル体とメルカプトメチル体を高度希釈条件下環化し、酸化、熱脱スルホン化により目的物を選択的に得ることができた。 2) 合成した[2.2.]メタシクロファンを発色団となるジヒドロピレンに変換するために光反応を検討したところ、一重項酸素が付加したエンド過酸化体が得られることを見いだした。このエンド過酸化体のx線構造解析を行い、エンド過酸化体としては非常に安定であることを見いだした。このことはシクロファン骨格の高いひずみが、影響したものとおもわれる。 3) 発色団となるジヒドロピレンを合成し、そのX線構造解析を行った。内部位にかさ高いトリメチルシリル基を導入したジヒドロピレン類のx線構造解析から、内部位の立体反発のために芳香環のひずみが増大することを明らかにした。その結果、置換基が多いほうが吸収波長が長波長シフトがみられた。 4) [2.2.2]メタシクロファン類のカップリング反応を検討するために、反転した芳香環への選択的ニトロ化を検討した。反応試薬として一等量の硝酸銅を用いることで選択的にモノニトロ体が得られ、またこれを水素化リチウムアルミニウムをもちいて還元的にカップリングすることにより、アゾ基を発色団とする分子ピンセットを合成した。
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[Publications] Tsuyoshi Sawada: "Novel,strained 10b,10c-dihydropyrenes bearing bulky TMSCH2 groups at the internal positions" J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1. 1999・4. 403-408 (1999)
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[Publications] Tsuyoshi Sawada: "Stable endoperoxide of 4,5,6,8,16-pentamethyl[2.2]metacyclophane; structural analysis and deoxygenation," J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1. 1998.8. 1369-1372 (1998)