1999 Fiscal Year Annual Research Report
発色団を有するピンセット型分子素子の開発に関する研究
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10750613
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
澤田 剛 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (90240902)
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Keywords | メタシクロファン / 分子ピンセット / 熱光異性化 / X線結晶構造解析 / アゾ基 / 包接挙動 / 銀イオン |
Research Abstract |
[2.2.2]メタシクロファンを反転した芳香環で発色団を挟んで結合することにより、スペーサー部位に発色団を有する、新規なピンセット型分子素子の創製を計画した。本年度は合成した発色団のスペクトル特性とピンセット型分子素子の構造、熱力学的特性、ホストゲスト作用について検討した。 1)還元的カップリング法で合成した[2.2]メタシクロファンを酸化することで黄色の[2.2]メタシクロファンーテトラオンを合成し、そのX線構造解析、ならびにスペクトル特性を検討した。その結果、架橋鎖にカルボニル基を導入したためにジヒドロピレンに近い平面性の高い構造を有していることを見いだした。 2)芳香環を3個持つ[2.2.n]メタシクロファン類、(n=1,2,3)から、アゾ基を発色団とする分子ピンセット類を合成した。これらは紫外光の照射によりTrans体からCis体へと異性化し、可視光によってCis体からTrans体へと異性化した。またCis体からTrans体へと熱異性化し、その活性化自由エネルギーがおよそ70KJ/molであることを見いだした。 3)直接、芳香環を結合した[2.2.2]メタシクロファンピンセットを合成し、そのX線構造解析を行った。その結果、固体状態で、アンチ型のコンホメーションを有しており、その角度がおよそ66.7度であることを見いだした。またこのときクロロホルム4分子を結晶中に含んでいることを見いだした。 4)アゾ[2.2.2]メタシクロファンピンセットの銀イオンに対する錯形成挙動を検討したところ、THF溶媒中で、過塩素酸銀を用いたところ、分子ピンセットと1:1の錯体をおよそ70L/molの錯安定度常数で形成することを見いだした。この値は対応する対照化合物のおよそ8倍であり、シクロファン構造が錯体の安定化に役立っていることを示唆した。
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[Publications] Tsuyoshi Sawada: "Preparation and Photo-thermal Isomerization of Azo [2.2.1]-,and Azo [2.2.3] metacyclophane Tweezers"Rep.Institute of Advanced Material Study Kyushu University. 13・1. 25-30 (1999)
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[Publications] Ken-ichi Tsukamoto: "Synthesis of 8,16-Dimethyl-and 8,16-Dimethoxy-5,13-di-t-butyl [2.2] metacyclophane-1,2,9,10-tetraone."Tetrahedron Letters. 40・25. 4691-4692 (1999)