1998 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界二酸化炭素を用いる電解カルボキシル化反応の開発と抗炎症剤合成への応用
Project/Area Number |
10750614
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
仙北 久典 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50241360)
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Keywords | 電解カルボキシル化 / 超臨界二酸化炭素 / カルボン酸 / 抗炎症剤 / マグネシウム陽極 / 反応性電極 / 二酸化炭素の固定化 / 電解還元 |
Research Abstract |
研究計画に基づき、フッ素原子を有する支持電解質など種々の支持電解質を用いて超臨界二酸化炭素のみを溶媒とする電解反応を試みたが、電解を行える程の通電は起こるなかった。そこで、少量の溶媒を共溶媒として共存させて電解を行うことを試みた。水、エタノールなどを用いて種々検討した結果、少量のアセトニトリルを共溶媒として用いると、反応条件下(反応温度40℃、二酸化炭素圧力80kg/cm^2)でも電解に十分な通電が得られ、かつ反応系内が均一相であることが確認された。本条件下で種々のハロゲン化合物の電解カルボキシル化反応を行うと、超臨界二酸化炭素中でも二酸化炭素の固定化が効率よく進行し、相当するカルボン酸を良好な収率で得ることができた。例えば、塩化ベンジルを基質としてマグネシウム陽極、白金陰極を取り付けた容量155mlの高圧反応容器に10ml(6%v/v)のアセトニトリルを共溶媒として支持電解質にBu_4NBF_4を加え、40℃まで昇温し、80Kglcm:まで二酸化炭素を送り込んで加圧した後、電流密度20mA/cm^2で3F/mol通電すると、電解カルポキシル化が容易に進行し、収率86%で相当するカルボン酸を得ることができた。いくつかのハロゲン化ベンジルについても同様の条件下、電解カルボキシル化を行った結果、臭化ベンジルおよび臭化1-フェネチルからもそれぞれ65%の収率で相当するカルボン酸を得ることができた。基質として臭化1-(4-イソブチルフェニル)エチルを用いることにより、風邪薬等に広く使用されている抗炎症剤Ibuprofen[2-(4-イソブチルフェニル)プロピオン酸]を55%の収率で合成することに成功した。次年度はさらにハロゲン化アリールの電解カルボキシル化を検討するとともに、種々の抗炎症剤ならびにそれらの類縁体の合成を行う計画である。
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