1998 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸残基を含む新規キラルカリックスアレーン類縁体の合成とその性質
Project/Area Number |
10750617
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
伊藤 和明 山形大学, 工学部, 助手 (80250950)
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Keywords | アミノ酸 / カリックスアレーン / 分子認識 / キラリティー |
Research Abstract |
1. アミノ酸残基を含むキラルカリックスアレーン類縁体の合成 フェノール-ホルマリン系二量体とアミノ酸メチルエステルより構成されたキラルテトラホモジアザカリックス[4]アレーン類を収率11-22%で合成した。 2. 環化物の構造 NMRおよびCDスペクトルより、環内へ導入されたアミノ酸残基のキラリティーがシクロファン部分へ伝達し、キラルな窪みを提供していることが明らかとなった。特に、CDスペクトルにおいて、その吸収強度が、ヘキサン中に比べエタノール中で著しく低下したことより、アミノ酸残基からシクロファン部分へのキラリティーの伝達において水素結合が重要な役割を果たしていると考えられる。 3. 分子認識機能 チロシン残基を有する環化物では、ラセミ体のアンモニウム塩に対してジアステレオマー錯体を形成し、^1H-NMR上でアンモニウム塩のエナンチオマーを識別できることを明らかにした。一方、他の残基、例えばロイシン、フェニルアラニンなどではそのような現象は観測されなかった。NMRおよびCDスペクトルからの知見と合わせて考えるとチロシン残基の水酸基がシクロファン中の分子内水素結合に影響を与え、シクロファン部分がより立った構造を取ること、そしてその結果、ラセミ体のアンモニウム塩を取り込むのに十分なキャビティーが形成できたものと考えられる。
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Research Products
(1 results)