1998 Fiscal Year Annual Research Report
銅(I)塩を用いる有機ケイ素化合物のカップリング反応とその機能性材料への応用
Project/Area Number |
10750621
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西原 康師 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (20282858)
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Keywords | 銅(I)塩 / 有機ケイ素化合物 / カップリング反応 / 機能性材料 |
Research Abstract |
本研究は銅(I)塩を用いることにより有機ケイ素化合物の反応性を向上し,最終的にはその反応を用いて機能性材料へ応用していくことを目的としている。 まず,有機基のケイ素から銅(I)塩へのトランスメタル化について検討した。その結果,トランスメタル化をおこす為には溶媒としてDMFなどの非プロトン性極性溶媒を用い,銅の塩としてCuClやCuOTfを用いることが必須であることがわかった。 この知見を基に,パラジウム/銅(I)塩共触媒系によるアルキニルシランとアリールトリフラートとの交差カップリング反応に成功した。この反応は末端アセチレンの保護基として多用されるトリメチルシリル基をそのまま直接的に交差カップリング反応がおこなえる点で,有機合成上有用な反応である。 さらに,銅(I)塩触媒によるアルキニルシランと1-クロロアルキンとの交差カップリング反応を検討した。その結果,良好な収率で交差カップリング体を得る反応条件を見つけた。この反応もアルキニルシランと1-クロロアルキンの両方の芳香環上の4位の置換基効果を受けることがわかった。つまり,アルキニルシラン側に電子供与性基,1-クロロアルキン側に電子求引性基を有するものの組み合わせが最も収率が高く,その逆の組み合わせでは収率が低いことがわかった。 本研究ではケイ素から銅(I)塩へのトランスメタル化について検討し,それを利用した反応を設計した。このトランスメタル化により,本研究で明らかにした以外にも様々な反応が期待できるので,本研究により有機ケイ素化合物の有機合成的価値がさらに高まったとといえる。今後は本成果を高分子合成に応用し,機能性材料の創製に展開していく予定である。
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Research Products
(1 results)