1998 Fiscal Year Annual Research Report
シクロプロピル亜鉛活性種の新規合成法の開発とオリゴシクロプロパン類の合成
Project/Area Number |
10750624
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
忍久保 洋 京都大学, 工学研究科, 助手 (50281100)
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Keywords | 亜鉛 / シクロプロパン / 炭素-炭素結合生成 / カルベノイド / ジエチル亜鉛 / エノラート |
Research Abstract |
シクロプロピル亜鉛活性種の新規合成法の開発ついて交付申請書に記載した研究計画に従って研究を行い次の2つの成果を得た。 1. アルケニル亜鉛種のシクロプロパン化によるシクロプロピル亜鉛活性種の合成 シクロプロピル金属活性種はシクロプロパン環を有する化合物を合成する上で有用な中間体である。本研究では合成の容易なアルケニル亜鉛活性種をジエチル亜鉛とジヨードメタンから得られる亜鉛カルベノイドによりシクロプロパン化してシクロプロピル亜鉛活性種を穏和な条件下で収率よく合成することに成功した。さらに生成したシクロプロピル亜鉛種は、シアン化銅の存在下、種々の求電子剤により捕捉することができ、更なる炭素炭素結合生成反応に利用できることが明らかとなった。また、1-ドデシンにSchwartz反応剤を作用させて得られたアルケニルジルコニウムを金属交換によりアルケニル亜鉛種に変換し、ジエチル亜鉛とジヨードメタンで処理することにより、1-アルキンからOne-potで収率よくシクロプロピル亜鉛種を調製することにも成功した。 2. 亜鉛エノラートのシクロプロパン化によるシクロプロパノールの合成 α-ヨードケトンに対してジエチル亜鉛を作用させると亜鉛エノラートが生成する。このようにして得た亜鉛エノラートを1で述べた反応においてアルケニル亜鉛活性種の代わりに用いると、亜鉛エノラートのオレフィン部分に亜鉛カルベノイド種が反応し、シクロプロパノール誘導体が収率よく得られることを見いだした。同一分子内に炭素-炭素二重結合を持つα-ヨードケトンを原料として用いてもエノラートのオレフィン部分に化学選択的にシクロプロパン化が起こる。また、α,β不飽和ケトンに対してアート錯体型亜鉛反応剤を1,4付加させて調製した亜鉛エノラートも収率よくシクロプロパン化できることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Ito: "Synthesis of Cyclopropanols via Cyclopropanation of Zinc Enolates" Tetrahedron Lett.39(29). 5253-5256 (1998)
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[Publications] K.Yachi: "A Facile Generation of a Cyclopnopylzinc Conpound from an Alkenylzinc Derivative and Its Reaction with Electrophile" Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.37(18). 2515-2517 (1998)