1998 Fiscal Year Annual Research Report
錯体触媒による水の共存下でのジエンと一酸化炭素の新規な共重合
Project/Area Number |
10750625
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
張 世偉 大阪大学, 産業化学研究所, 助手 (60263323)
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Keywords | 錯体触媒 / ジエン / 一酸化炭素 / 共重合 |
Research Abstract |
ロジウム触媒を用いて水性ガスシフト反応条件下でノルボルナジエンおよびノルボルナジエン誘導体を基質に用いた反応から、推定構造としてポリケトエーテルと思われる共重合体が得られた。この共重合体の正確なポリマー構造について化学反応性から確認すると同時に、本反応の最適条件および適用範囲について検討した。7-ターシャルブトキシノルボルナジエンを用いてアミンと水の添加量、反応温度および反応時間など反応条件を検討した結果、分子量20000(分子量分布1.36)の共重合体が単離収率85%で得られた。そして、数種類の置換ノルボルナジエン誘導体を調製し、本反応条件下で一酸化炭素との共重合について検討を加えた。その結果、何れも共重合反応が進行した。例えば、7-フィエニルノルボルナジエンおよび2、3-置換体ノルボルナジエンを用いた場合対応する共重合体が良好な収率で得られた。しかしながら、本反応条件下では2、3-置換体ノルボルナジエンからは低分子量の共重合体しか得られなかった。そこで、この低分子量の共重合体を用いて構造解明に努めると同時に高分子量の共重合体がえられる反応条件について探索している。一方、これまで得られた数種類の共重合体の各種スペクトル、元素分析などの結果から共重合体の構造を推定した。基本骨格として最初考えたポリケトエーテルではなくポリジケトンの可能性が高い。即ち、本反応条件下一酸化炭素が連続挿入する可能性があると考えられる。そこで、カルボニル化合物の水素化に有効な試薬LiAlH_4を用い7-ターシャルブトキシノルボルナジエンの共重合体との反応を試みた結果、水素化反応は完全に進行し、ポリジケトンが対応するポリジアルコールに変換されたと思われる。今現在、このポリジアルコールと思われる共重合体のNMRスペクトルではシグナルのブロードニングと重なりのため正確な解析結果が得られていないが、スペクトルデータ解析のできるノルボルナジエン誘導体を選び調製し、その共重合体の水素化反応を行い、ジケトンに由来するジアルコールの構造を確認したいところである。
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