1998 Fiscal Year Annual Research Report
橋かけアンモニウムイオンを経由するアジリジンの新規環拡大反応の開発
Project/Area Number |
10750626
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
林 宣之 岡山大学, 環境理工学部, 助手 (40294441)
|
Keywords | 環拡大反応 / アジリジン / ジオール化 / 環状スルフェート |
Research Abstract |
環拡大反応に用いる基質の合成の方法論を検討した。4-ペシチン-1-オールをp-メトキシベンジル(PMB)基で保護し、リチウムアセチリドに変換後、ホルムアルデヒドとカップリングしてプロパルギルアルコールとした。三重結合部位を水素化アルミニウムリチウムによりトランス二重結合へ還元し、遊離の水酸基はフェニルプロパニル基で保護し、PMB基をtert-ブチルジメチルシリル(TBS)基に交換した。アジリジニル部位の構築は不斉合成への展開を考慮し、高い光学収率が得られるジオール化→環状スルフェート→アジリジンのルートを検討した。結果として、環状スルフェートまでは高い化学収率で得られるが、二つの2級水酸基から誘導された環状スルフェート化合物へは、アミン類の求核反応が進行せず、反応条件を激しくすると基質自体が破壊されることが明らかとなった。そこで、次にエポキシド→α-ヒドロキシアジド→アジリジンのルートを検討した。α-ヒドロキシアジドをトリフェニルホスフィン存在下、アセトニトリル中で加熱還流すると速やかにアジリジンが得られた。アジリジンの活性プロトンを電子供与性のベンジル基、または電子吸引性のトシル基に置換した後、分子末端を脱離基に変換するために、TBS基の脱保護を試みた。しかしながら、いずれの場合も速やかにアジリジニル基へのアルコキシ基の求核攻撃が起こり、テトラヒドロフラニルアミンが生成した。以上の結果から、基質合成の手順としては、脱離基を導入後、アジリジル基を構築することが必須である事が明らかとなった。
|