1998 Fiscal Year Annual Research Report
糖クラスター効果を用いた蛋白質への選択的薬物運搬と変性
Project/Area Number |
10750627
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林田 修 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 助教授 (20231532)
|
Keywords | 糖クラスター / クラスター効果 / 表面プラズモン共鳴 / コンカナバリン / レクチン |
Research Abstract |
1. 糖クラスターの合成 研究計画にあげた糖クラスターの合成を行った。即ち、シクロファン骨格にグルコース及びガラクトース誘導体を8個導入した糖クラスターを合成した。その他の糖クラスターとして、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオースをそれぞれ導入した糖クラスターの合成も行い、それぞれ合成することに成功した。 2. 糖クラスター-ゲスト複合体の形成 研究計画にあげたように、重水中での糖クラスターの尿素に対する包接挙動を核磁気共鳴(NMR)スペクトル法により評価したところ、十分な相互作用は認められなかった。ヌクレオチド等ののゲスト分子との相互作用を検討したところ、リン酸関連化合物に対する強い取り込み能を有することが確認された。ホスト-ゲスト複合体の結合定数を求めるたところ、アデノシンモノリン酸等のモノヌクレオチドに対して10^4オーダーの結合定数で取り込むことが明らかとなった。その他にも、オリゴヌクレオチドであるPBR322などのプラスミドDNAとも強く相互作用することがゲル電気泳動法により明らかとなった。いづれの場合にも糖クラスターの糖鎖部位とリン酸イオンとの多点での極性相互作用にもとづく認識であると考えられる。 3. 糖クラスターによる蛋白質へのゲスト運搬 ゲスト分子を包接した糖クラスターのコンカナバリン等のレクチンに対する結合能を表面プラズモン共鳴法に基づく生体分子間相互作用解析装置により検討すしたところ、固体表面に固定化した糖鎖クラスターにおいてもレクチンによる認識は保持されることがわかった。
|
-
[Publications] O.Hayashida: "Surface Plasmon Resonance Study on the Interaction of Immobilized Macrocyclic Sugar Clusters with Lectins and Water-soluble Polymers" Chem.Lett.13-14 (1998)
-
[Publications] K.Ariga: "A QCM Stidy on Adsorption of Macrocyclic Sugar-Cluster to Variously-Functionalized Monolayers" Chem.Lett.1007-1008 (1998)
-
[Publications] Y.Aoyama: "Molecular Delivery System Using Macrocyclic Sugar Clusters" Pure Appl.Chem. 印刷中.