1999 Fiscal Year Annual Research Report
メトキシフェニルチオメタンを利用したワンポット多段階反応
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10750628
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
折田 明浩 岡山理科大学, 工学部・応用化学科, 講師 (30262033)
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Keywords | 省資源 / 省エネルギー / 生理活性物質 / スルホン / フェノール / ワンポット合成 / 炭素-炭素結合生成 / 脱離反応 |
Research Abstract |
限られた化石燃料を有効利用し,省資源・省エネルギーを指向した有機合成反応により有益な化合物を合成する技術は,現代だけでなく21世紀という未来を創造するために必要な技術であり,人類が今の文明社会を維持していくには必要不可欠である。そこで省資源・環境保護を指向した有機反応の開拓,およびその反応を利用した生理活性物質の合成を試みた。 スルホンは有機合成反応に最も重要な素反応である炭素-炭素結合を構築することが可能である。また,必要な炭素骨格を構築した後に,容易に除去することも可能である。スルホンのこの性質を利用してフェノールのワンポット合成反応を試みた。フェノールは古くから知られている生理活性物質の1つであり,高い活性を示す抗生物質やHIV活性を示すエイズ治療薬のリード化合物としても期待される化合物群である。また,ワンポット反応は合成中間体を単離精製する事により,従来段階的に行っていた反応を中間体を一切取り出すことなく一気に行うことが可能であり,省資源・省エネルギーを容易に実現できると考えた。定法によりβ-ケトスルホンと種々のエノンとを調製後,塩基性条件下にてこれらを反応させた。反応はスムーズに進行し,目的とするフェノールが良好な収率で得られた。また,出発原料のスルホンやエノンに様々な置換基を導入したところ,それぞれ対応する置換フェノールが得られた。いずれの反応も,期待した炭素-炭素結合生成,それに続く脱離反応がスムーズに進行した。
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