1998 Fiscal Year Annual Research Report
エンイン類の官能基選択的重合反応の開拓と反応性高分子への展開
Project/Area Number |
10750631
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
冨田 育義 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 講師 (70237113)
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Keywords | エンイン類 / 反応性高分子 / ラジカル重合 / アニオン重合 / リビング重合 |
Research Abstract |
本研究では、新しい反応性高分子の構築を目指し、不飽和度の高い共役エンイン誘導体をモノマーとした重合系を特に重合触媒系の構造、重合方法、およびモノマー上の置換基などの観点から詳細に検討することにより、生成する高分子骨格を制御し、アセチレン、アレン、およびジエン骨格を繰返し単位とした構造の明確なポリマーを得る方法、すなわちモノマーの不飽和骨格のうちいずれか1種類だけが特異的に生長反応に関与する高選択な重合方法の開発を目的として行った。 初年度は、重合方法と生成ポリマーの構造との関係の評価を目的に、4一位(アセチレン側)に置換基をもつエンインモノマーを用いて、ラジカル重合挙動を詳細に検討した。その結果、4一位に芳香族、および脂肪族置換基をもつ各種モノマーが良好に重合し、目的とするポリマーを与えることが分かった。この際、脂肪族置換基をもつモノマーの方が芳香族置換の場合と比較して速やかに重合することが分かったが、いずれの場合にも条件を選べば高選択的に1,2一重合に由来するアセチレン骨格を側鎖置換基とした構造のポリマーが得られることが明らかとなった。さらに、各種コモノマーとの共重合反応を検討し、特に親電子性のモノマーとの共重合が効率よく進行し、コモノマーの親電子性の増加に伴い交互性が上昇することが分かり、またエンイン由来の重合ユニットに1,4一重合骨格(アレン骨格)が多く含まれる傾向が観察された。また、共重合系を用いたエンインモノマーのラジカル重合性の評価から、エンイン類は非常に共鳴安定化の寄与の大きなモノマーであることが示された。 つぎにアニオン重合系におけるエンイン類の重合挙動を詳細に評価した。その結果、特に開始剤への添加剤を適切に選択すれば芳香族置換エンインモノマーがリビング機構で重合し、単分散性のポリマーを高収率で与えることが分かった。この際、生成ポリマーは主として1,2一重合に基づく構造を有していたが、一部1,4一重合によるアレン骨格を含んでおり、置換基の性質によりその割合が制御できる可能性が示された。
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[Publications] B.Ochiai,I.Tomita,and T.Endo: "Selective Radical Vinyl Polymerization of 4-Phenyl-1-butene-3-yne: Synthesis of a Novel Acetylene-Containing Polymer" Chemistry Letters. [6]. 563-564 (1998)
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[Publications] B.Ochiai,I.Tomita,and T.Endo: "The Living Polymerization of Cunjugated Enyne Derivative: Anionic Polymerization of 4-Phenyl-1-butene-3-yne" Macromolecules. 31[1]. 238-240 (1999)