1999 Fiscal Year Annual Research Report
超分子構造の導入による分解・リサイクルが可能な汎用エラストマーの合成
Project/Area Number |
10750633
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
橋本 保 福井大学, 工学部, 助教授 (00198681)
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Keywords | エラストマー / ブチルゴム / リサイクル / 分解性結合 / 水素結合 / 安息香酸 / ビピリジン / 超分子 |
Research Abstract |
温和な条件で化学的に分解でき,分解生成物のリサイクルが可能な汎用エラストマーの開発を目的として,水素結合により形成された超分子構造からなる架橋鎖を有するブチルゴムを合成し,その基礎的な物性を検討した。また架橋鎖と同様な超分子構造を有する低分子モデル化合物を合成し,その性質を明らかにし,対応するブチルゴムと比較した。 1.側鎖に安息香酸単位を有するブチルゴムと,水素結合により形成された超分子構造の架橋鎖を有するブチルゴムの合成:ハロゲン化ブチルゴムとp-ヒドロキシ安息香酸メチルのナトリウム塩を反応させ,側鎖に安息香酸エステル単位を有するブチルゴムを合成した。さらに,側鎖に安息香酸単位を有するブチルゴムと4,4'-ビピリジンとの間に水素結合を形成させて,側鎖を架橋したブチルゴムを合成した。また,安息香酸単位の水素結合による2量化を利用して,側鎖に安息香酸単位を有するブチルゴム単独からも,水素結合による架橋鎖を有したブチルゴムを得た。 2.得られたブチルゴムの力学的性質と熱的性質の検討:このようにして得た水素結合により架橋したブチルゴムは,原料ブチルゴムに比べて,2〜3倍の引っ張り弾性率を有していた。また熱分解温度は,原料ブチルゴムに比べて,ほとんど変わらなかった。 3.架橋鎖と同様な超分子構造を有する低分子モデル化合物の合成と性質:ジ安息香酸とビピリジンから,ブチルゴムの架橋鎖と同様な超分子構造を有する低分子モデル化合物を合成した。その熱的性質を検討した結果,高い熱安定性が示され,汎用エラストマーの使用温度では,架橋鎖が十分に安定であることがわかった。今後は,本ブチルゴムの分解と再生,再生物の物性を検討することが課題である。
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