1998 Fiscal Year Annual Research Report
電解ESR法による成長ラジカルの酸化還元電位の精密測定
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10750637
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
梶原 篤 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (50224415)
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Keywords | ラジカル重合 / 成長ラジカル / 酸化還元電位 / ラジカル / イオン変換重合 / カチオン重合 / 成長速度定数 / 制御ラジカル重合 |
Research Abstract |
本年度は、ラジカル重合における、成長ラジカルの酸化還元電位を測定するための研究として、主として、2つの方向からのアプローチを行った。 一つ目は成長ラジカルの反応の制御や変換を通して、間接的に、酸化還元電位を見積ろうとするもので、実際に、高分子合成を行って、データを収集した。 ハロゲン化アルキルを開始剤とし、1価のハロゲン化銅を触媒量添加して、80℃から110℃くらいの高温で、スチレンやメタクリル酸エステル類の重合を行うと、分子量の揃った高分子が合成できる。この重合系を電子スピン共鳴分光(ESR)法で、観測すると、常磁性の2価の銅錯体が系中に生成していることが分かった。ESRスペクトルの解析から、2価の銅錯体の濃度や構造を推定し、この重合反応が、成長ラジカルと銅錯体との酸化還元反応によって制御されていることを明らかにし、ラジカル重合禁止剤となる2価の塩化銅や臭化銅との酸化還元電位の差についても検討した。これらの結果は計5報のMatyjaszewski教授との共著論文として、発表した。 二つ目は直接成長ラジカルの酸化還元電位を測定するための準備実験で、手法としては、ESR法と定電位電解とを組み合わせて行おうと考えている。(成長)ラジカルのスペクトルをESRで観測しながら、系にかける電位を徐々に変化させていって、スペクトルが消失する点を酸化還元電位として記録しようと考えている。現在、電解ESRセルを試作中で、すでに、2種のセルについて、定電位電解の可能性を探る実験を始めている。
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[Publications] Atsushi Kajiwara et al.: "Formation of Block Copolymers by Transformation of Cationic Ring-Opening Polymerization to Atom Transfer Radical Polymerization(ATRP)." Macromolecules. 31. 3489-3493 (1998)
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[Publications] Atsushi Kajiwara et al.: "EPR Study of the Atom Transfer Radical Polymerization(ATRP) of (meth) acrylates." Macromol.Rapid Commun. 19. 319-321 (1998)
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[Publications] Atsushi Kajiwara et al.: "Simultaneous EPR and Kinetic Study of Styrene Atom Transfer Radical Polymerization(ATRP)" Macromolecules. 31. 5695-5701 (1998)
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[Publications] Kaoru Aramata et al.: "Radical Polymerization of 5-(4'-Acrylamidophenyl)-10,15,20-triphenylporphine and 5-(4'-Methacrylamidophenyl)-10,15,20-triphenylporphine" Polym.J.30. 702-707 (1998)
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[Publications] Michael Buback et al.: "Free-Radical Propagation Rate Coefficients of Dodecyl Methadcrylate Deduced from Electron Spin Resonance Experiments." Macromolecules. 31. 7208-7212 (1998)
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[Publications] Tetsuya Noda et al.: "Electron Spin Resonance Estimation of Propagation Rate Constants of Radical Polymerization of Benzyl Methacrylate" Macromolecules. 31. 9078-9080 (1998)