1998 Fiscal Year Annual Research Report
高分子鎖上におけるホール移動およびホールトラップ形成のダイナミクス
Project/Area Number |
10750650
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大北 英生 京都大学, 工学研究科, 助手 (50301239)
|
Keywords | カルバゾール / 二重体モデル化合物 / 過渡吸収測定 / 電荷共鳴吸収帯 / ダイマーカチオンラジカル / 閉環確率 / 鎖長効果 / アンチ型ダイマー |
Research Abstract |
1. エキシマーを形成しない高分子および二量体モデル化合物の合成 エキシマーを形成しないカルバゾール系高分子として、poly[2-(9-carbazolyl)ethyl methacrylate](PCzEMA)と2-(9-carbazolyl)ethyl methacrylateとmethyl methacrylateとの共重合体を合成した。また、それら高分子系の二量体モデル化合物として、二つのカルバゾール基(Cz)を異なる鎖長(n)で繋いだdi(9-carbazolyl)alkane(Cz-n-Cz,n=3〜12)およびdi(9-carbazolyl)ethyleneoxy carbonyla1lkane(Cz-En-Cz,n=11,12,15,16,20,26)を合成した。 2. 過渡吸収スペクトル測定(10μsフルスケール) 二量体モデル化合物の過渡吸収スペクトルの測定を、380〜2000nmの波長領域について行った。その結果、n=3ではこれまで報告されているように、1600nm付近に電荷共鳴吸収帯(CRバンド)が励起直後(〜μs)より観測された。n=4では1800nm付近にCR帯が観測され、エキシマーは成しないものダイマーカチオンを形成することが分かった。n=5〜10ではCR帯はほとんど観測されず、n>10で再びCR帯が観測され、そのピーク波長は1200nm付近と極めて短波長であった。n>10の領域ではn=16でダイマーの生成量が極大となり、anti-型の閉環確率と同様の傾向を示した。この結果は、anti-型のダイマーが形成していることを示唆している。 3. 過渡吸収測定(1μsフルスケール) 新規購入した光電子増倍管(Hamamatsu,R5108)を用いることにより、短時間領域での観測が可能となった。これまでのInAsフォトダイオードでは応答時間が0.5μs程度であるのに対してR5108では数nsであるので、CR帯の動的形成過程を観測できるものと考えられる。
|