1998 Fiscal Year Annual Research Report
衝撃応力2成分同時計測による高分子材料の衝撃緩和構造の解明
Project/Area Number |
10750652
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森 保仁 九州大学, 工学部, 助手 (80243898)
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Keywords | 高分子 / 衝撃波 / 波面緩和構造 / 衝撃圧縮曲線 / 垂直応力 / せん断応力 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高分子材料の0.5GPa前後という弱い衝撃圧縮下において顕著に見られる衝撃波面緩和現象の詳細を解明することである。応力ゲージ法と高速度写真法を組み合わせて、垂直応力、せん断応力、及び衝撃波伝播速度を同時に計測し、高分子材料の衝撃圧縮状態の様々な物性値を見積もる実験を計画した。実際にこの2つの方法を組み合わせるのはかなりの技術とコストがかかるため、まず各々の方法を用いて数種類の高分子材料における衝撃圧縮曲線(ユゴニオ)及び波面緩和構造の同時計測を行った。特にポリエチレンについては多くの実験を行ってきたが、得られたユゴニオ(伝播速度vs粒子速度)は、0.3GPa付近で奇妙な折れ曲がりを持つ特異な形状となった。この原因として、「衝撃波伝播速度は試料内で常に一定である」という前提が高分子材料ではあてはまらないのではないかと考えた。この場合これまでのユゴニオの概念は根本的に崩れることになる。当初計画していた実験でも試料内の平均伝播速度を計測するため、見積もられた物性値はあくまである実験条件下でのデータということになる。そこで高速度写真法を用いて「衝撃波伝播速度履歴」を計測する実験を行った。ターゲットと同じ材料のフライヤーを約300m/sで衝突させることによりターゲット内に衝撃波を発生させた。その結果、PMMAについてはほぼ一定の波面伝播速度となったが、ポリカーボネート及びポリエチレンについては明らかに波面伝播速度が伝播と共に遅くなっていく結果を得た。特に緩和構造の大きなポリカーボネートや低密度ポリエチレンでは非常に顕著であるため、PMMAの場合でもより弱い衝撃波の場合は伝播速度が一定ではなくなる可能性がある。今後この現象の詳細を明らかにして、更に2方向の応力の同時計測へと発展させていきたい。
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