1998 Fiscal Year Annual Research Report
海水腐食環境下での工学的疲労亀裂発生寿命に関する研究
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10750663
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山本 元道 広島大学, 工学部, 助手 (30274111)
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Keywords | 腐食疲労強度 / 腐食疲労亀裂発生寿命 / 腐食疲労亀裂発生限界条件 / 腐食疲労亀裂発生・進展モデル / 破壊力学 / 固有亀裂モデル / 海水腐食環境 |
Research Abstract |
腐食と疲労の相乗効果により、腐食環境中での疲労亀裂は、大気中のそれに比べて早期に発生する。メガフィート・船舶など、海水腐食環境下で長期間にわたり、繰り返し荷重が負荷される大型溶接鋼構造物の強度・信頼性確保に対して、腐食疲労強度は重要な因子である。しかしながら、腐食疲労寿命(腐食疲労強度)評価を行う場合、腐食疲労亀裂発生寿命は、対象物や対象部位等により定義が異なるあいまいなものとなっている。したがって、腐食環境下での大型溶接鋼構造物の強度信頼性を確保する上で、より合理的な腐食疲労寿命(腐食疲労強度)評価法を確立することは、重要課題である。 本研究の目的は、合理的で普遍性のある腐食疲労亀裂の発生・進展モデルを新たに定義・提案し、本モデルの妥当性を実験的・解析的に検証することにある。 平成10年度研究では、海水腐食環境下で全面腐食を起こさずに、腐食ピットの観察が比較的容易であると考えられる、13Cr系ステンレス鋼(SUS410J1)を供試しての腐食疲労亀裂発生試験、および破壊力学を用いての腐食疲労亀裂発生寿命評価を行い、概略以下の成果が得られた。 1. 下記に示す、腐食疲労亀裂の発生・進展モデルを、新たに定義・提案した。 (1)腐食ピットの発生・成長→(2)腐食ピットの応力集中により腐食疲労亀裂が発生し得る時点→(3)腐食ピットの成長速度が腐食疲労亀裂の進展速度よりも速いために、腐食ピットの侵食により腐食疲労亀裂が発生しない期間→(4)腐食疲労亀裂の進展速度が腐食ピットの成長速度と等しくなり、腐食疲労亀裂が本格的に進展し始める時点→(5)腐食疲労亀裂の進展速度が腐食ピットの成長速度に勝って、腐食疲労亀裂が進展する期間→(6)破断 2. SUS410J1を供試しての腐食疲労亀裂発生試験により、微少な腐食ピットからの腐食疲労亀裂発生状況を実験的に把握することができた。 3. 固有亀裂モデルを導入しての破壊力学的解析により、微少な腐食ピットからの腐食疲労亀裂発生限界条件、ならびに腐食疲労亀裂の進展挙動を、定量的に把握することができた。
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