1998 Fiscal Year Annual Research Report
流動電位を用いた地下流体探査におけるデータ解析手法に関する研究
Project/Area Number |
10750671
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 俊昭 九州大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90294892)
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Keywords | 流動電位 / 流体探査 / 逆解析 |
Research Abstract |
地熱貯留層から安定して地熱流体を生産、還元を行うための貯留層管理や、高温岩体発電のための水圧破砕など、地下の流体挙動を的確に把握する必要性がある。そのため、地下浸透流によって生じる流動電位に着目し、その経時変化を地表で連続観測することで、地下浸透流の方向、浸透速度を把握できる新しい物理探査法である流体流動電位法の研究開発を行っている。流体挙動の推定では従来非線形最小二乗法が多く用いられ、成果をあげている。しかし、測定と平行して得られる膨大な測定値をリアルタイムに解析するためには、解析速度の点で若干問題がある。そこで、流体挙動をより的確に把握するために、焼き鈍し法や遺伝的アルゴリズムを適用した新しい解析手法を提案し、解析プログラムを開発した。そして人工的な地下構造モデル(貯留層モデル)を仮定し、従来の非線形最小二乗法を使用した解析手法と、焼き鈍し法や遺伝的アルゴリズムを使用した新しい解析手法の解析精度や解析速度、測定値に含まれるノイズに対する頑健性などを数値実験により比較した。 その結果、遺伝的アルゴリズムを用いた解析法では初期値が不要で、解析結果が客観的であり、得られる推定値は準最適解ではあるものの、十分な解析精度を確保できることがわかった。また、焼き鈍し法を用いた解析法では、冷却スケジュールにおける温度低下の割合を十分小さく設定することにより、解空間内で初期値をどのように選択しても、推定値を収束させることができることを確認し、得られる推定値の客観性を確保できることがわかった。その際、温度低下の割合を小さく設定することで、解析時間の増大が懸念されるが、解析誤差数%程度の範囲内では、計算時間も数十秒程度で解析が終了し、実用上特に問題にならないことも明らかになった。
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