1998 Fiscal Year Annual Research Report
テンサイ細胞質雄性不稔性に関わる核・ミトコンドリア遺伝子相互作用の基礎研究
Project/Area Number |
10760001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保 友彦 北海道大学, 農学部, 助手 (40261333)
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Keywords | テンサイ / ミトコンドリア / 細胞質雄性不稔性 / 稔性回復遺伝子 / AFLP / 分子マーカー / アンチセンス / ピルビン酸脱水素酵素 |
Research Abstract |
1. テンサイ変異ミトコンドリア遺伝子の発現解析 テンサイS型atp6上流に見出された領域(N-extension)が翻訳されるかどうか調査するため、合成ペプチドを抗原に抗体を作製してウエスタンブロット解析を行った。その結果S型ミトコンドリアでのみ翻訳産物を検出した。しかしながら抗体の力価が低くこれ以上の調査が困難なため、現在新たな抗体を作成中である。 2. CMS発現に関係する核遺伝子の解析 花粉稔性分離BCl集団を用いてRfに連鎖するマーカーの単離を試みた。RAPD解析の結果、Rfから5.7cMに位置するマーカーを1個単離した。さらに同集団を用いてAFLP解析を進めたところさらに多くの分子マーカーが得られ、特に2個のマーカーについては現在のところRfとの組換え体が出現しない共分離マーカーであった。今後これらのマーカーを用いてRfのクローン化を進める予定である。 3. 人為的ミトコンドリア機能不全株作出の試み ミトコンドリアの機能を人烏的に低下させるため、テンサイのピルビン酸脱水素酵素(PDH)遺伝子をアンチセンス方向に、タペート特異的プロモーターTA29の下流に連結してタバコに導入した。モの結果独立な形質転換体をいくつか得ることができ、その表現型を調査した。1等られた形質転換体は花粉稔性が低下しており、花粉の形状が正常型とは明らかに異なっていた。さらに葯の組織学的観察によるとタペート細胞の肥大、液胞化あるいは多核化が観察された。このような表現型はテンサイCMSと酷似するため、タペート細胞特異的なPDHのアンチセンス阻害がミトコンドリアの機能不全を引き起こしたと考えられる。
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