1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10760006
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
寺地 徹 京都産業大学, 工学部, 助教授 (90202192)
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Keywords | ダイコン / 雄性不稔 / オグラ型細胞質 / 稔性回復遺伝子 / AFLP |
Research Abstract |
本研究課題では、ダイコンのオグラ型雄性不稔細胞質に対する稔性回復遺伝子の単離を究極の目的に、各種分子遺伝学的実験を実施した。今年度の実験終了時点では、まだ稔性回復遺伝子そのものをクローニングするにはいたっていないが、次年度に予定しているmap-basedクローニングの良いツールとなる、稔性回復遺伝子に連鎖するDNAマーカーの選抜に関して大きな進展があった。すなわち交付申請書記載の1)の部分では、AFLP法を雄性不稔系統‘MS源助'、稔性回復系統‘コメット'、及びこれらのF2系統に適用し、Ecoプライマー4通り、Mseプライマー8通りの合計32組合わせについて、そのAFLPパターンを解析した。その結果、検出可能であった合計1000本以上のAFLP断片の中から、不稔バルクに存在せず可稔バルクに特異的に存在する、稔性回復遺伝子連鎖AFLP断片を2つ発見することができた。また、そのうちの1つについてはクローニングとシークエンシングによりSTS化に成功したので、F2集団126個体を用いた連鎖解析を実施したところ、このSTSマーカー(AFLP190と命名)が稔性回復遺伝子と組換え率1%以下で密接に連鎖していることがわかった。さらに、このマーカーを詳しく調べたところ、AFLP190それ自身が転写されていることやAFLP190の塩基配列は病害抵抗性遺伝子と構造上の類似点をもつことなどのユニークな知見を得ることができた。現在、他の1つの連鎖AFLP断片について、STS化を試みている。なお、交付申請書記載の2)の部分では、酵母のtwo-hybiridシステムの立ち上げが予定より遅れてはいるものの、オグラ型細胞質特異的な雄性不稔遺伝子orf138を持つ、各種組換えプラスミドを構築することができた。これらの組換えプラスミドは、例えばorf138遺伝子産物の抗体を作製するなど、今後のtwo-hybiridシステムを用いた実験を円滑に進めるうえで大いに役だつものと考えられる。
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