1999 Fiscal Year Annual Research Report
塩分ストレス条件下におけるイネ根の形態変化に関する研究
Project/Area Number |
10760012
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Research Institution | Kurashiki University of Science and the Arts |
Principal Investigator |
内藤 整 倉敷芸術科学大学, 教養学部, 講師 (40252902)
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Keywords | 塩分ストレス / イネ / 根系 / 耐塩性 / 形態 |
Research Abstract |
実験には感受性品種IR28、耐塩性品種IR4595-4-1-13(IR4595)を供試し、塩分ストレスが根系形態に及ぼす影響を調査した。IR28では塩ストレスにより、1次根数、1次根長とも抑制されたが、分枝係数、太さ係数に大きな変化は認められなかった。一方、IR4595では50,100mMNaCl処理で1次根数は増加し、150mMにおいても減少はわずかであった。1次根長も100mMNaCl処理までは増加したが、150mMにおいては減少した。また、IR4595の100,150mM処理区では分枝係数が減少し、太さ係数が増大した。このことは、IR4595においては高濃度のNaCl処理によって1次根の発生・伸長よりも分枝根の発生・伸長がより大きく抑制され、根の太さが太くなることを示すものである。IR4595における太さ別の根長の頻度分布を見ると0.5〜0.7mm程度の太さの根の割合が増加していた。しかし、1次根の直径はNaCl処理を行っても変化していなかったことから、太さ係数の増大は一次根が肥大したためではなく、分枝根が太くなったためであると考えられた。1次根では根の内部構造やカスパリー線の発達程度に大きな変化は認められなかった。 T/R ratioはIR4595ではほぼ一定であったが、IR28ではNaCl処理濃度が高まるにつれて増大した。このことは、IR28ではNaCl処理によって地上部への光合成産物の供給が増加し、地下部への光合成産物の供給が減少していることを示すもので、塩ストレス下で根系形態の変化の品種間差に地下部への光合成産物の供給量が大きく影響を及ぼしていることが明らかになった。 現在、IR4595に見られた根系形態の変化と塩排除機能の関係ならびに肥大した分枝根の内部構造の変化について調査している。
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