1998 Fiscal Year Annual Research Report
神経作用性殺虫剤のイオンチャネルレベルでの作用機構の電気生理学的解明
Project/Area Number |
10760027
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
永田 啓一 筑波大学, 農林学系, 講師 (40282321)
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Keywords | イオンチャネル / クロルニコチニル / 殺虫剤 / パッチクランプ / 作用メカニズム |
Research Abstract |
イミダクロプリドはニコチン性アセチルコリンレセプターチャネル複合体に作用することが知られている。しかしながらその詳細な作用メカニズムについてはまだ不明な点が多い。本研究ではラットPC12培養細胞系の神経性ニコチン性アセチルコリンレセプターに対する作用を電気生理学的手法であるホールセルおよびシングルチャネルパッチクランプ法を用いて調べた。ホールセルレベルでは、イミダクロプリドはアゴニスト(アセチルコリンおよびカーバコール)によって発生するイオン電流を濃度依存的に抑制し、さらにそれ自身弱いイオン電流を発生させる作用を持つことがわかった。これらの作用をシングルチャネルレベルで調べた結果、アゴニスト(アセチルコリンおよびカーバコール)の単独処理では複数知られているニコチン性アセチルコリンレセプターチャネル複合体のシングルチャネルコンダクタンスのうち主にメイン(25.4pS)およびサブ(9.8pS)コンダクタンスを発生し、メインコンダクタンス電流の比率が高いのに対し、イミダクロプリドの単独処理では同様に2種類のコンダクタンス電流を発生するが、サブコンダクタンス電流の比率が高いことがわかった。さらにアセチルコリンとイミダクロプリドを同時処理した場合では、主にメインコンダクタンス電流を発生するが、その発生頻度はコントロールより低下することが示された。これらのことからイミダクロプリドはニコチン性アセチルコリンレセプターチャネル複合体に対し半アゴニスト(partial agonist)としての性質を持つことが明らかになり、ホールセルレベルで観察されるイミダクロプリドによるイオン電流の抑制は、イミダクロプリドがレセプター部分においてアゴニストと競合的に結合してサブコンダクタンス電流を発生させるためレセプターチャネルによって運ばれるイオン電流量が結果的に低下するためであることが明らかになった。
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