1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10760029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
角谷 岳彦 京都大学, 総合博物館, 助手 (10293937)
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Keywords | 群集動態 / 訪花昆虫 / 送粉 |
Research Abstract |
京都大学芦生演習林と京都大学構内において、1990年に論文公開した方法(Kato etal,1990:Kakutani et al,1990)に準じた訪花昆虫群集調査を今年度から開始した。すなわち、一定の調査コースを定め、そのコース沿いで訪花を確認したすべての植物種を調査対象として、植物の種ごとに10分間に確認した訪花昆虫を分類群を問わず、すべて採集した。さらに、先の調査方法に加え本研究では、調査に際して昆虫を採集した花の写真をデジタルカメラで撮影した。採集した昆虫標本は、実体顕微鏡を用いて花粉の付着状況を調べた後、乾燥標本として昆虫標本箱に保管してある。なお、これらの標本は上記の論文の標本とあわせて、京都大学総合博物館で管理する。また、食植者に関する情報の収集については、本年度、予備的調査を行い一定の調査方法について検討を進めている。 来年度の継続調査によって得られる昆虫標本ならびにデジタル画像を今年度のものと合わせて解析し、先に1990年に論文公開した結果と比較することによって、この10年にわたる訪花昆虫群集の変化が、原生林内と市街地でどのように違うかが明らかになるとともに、10年前には定量的に評価しきれなかった花と昆虫の形態的共進化に関する評価をデジタル画像のコンピュータ処理によって行える。また、送粉者、盗蜜者の関係のみならず、植食者が送粉系に及ぼす影響についても議論できそうである。 なお、今年度分だけの情報から群集動態に関わる長期的な相互作用系の解明をめざす本研究の結論を導くことは適当ではないので、本研究に関わる研究発表は今年度は行っていない。理想的には、先の論文の場合と同様に5年程の継続調査を行った上で、結論を導くことが好ましいが、来年度には本科研費での調査結果として中間報告的論文を公表する予定である。
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