1999 Fiscal Year Annual Research Report
均一化cDNAライブラリーを用いた病原菌の形態分化に関与する遺伝子群の分離、解析
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10760031
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高野 義孝 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (80293918)
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Keywords | 植物病原糸状菌 / ウリ類炭そ病菌 / 均一化cDNAライブラリー / ディファレンシャルスクリーニング / 付着器 / CAD遺伝子 |
Research Abstract |
近年、植物病原菌の感染器官である付着器の形成機構について遺伝子レベルでの解析が行われている。これまでディファレンシャルスクリーニングによって、付着器形成時に特異的な発現を示す数種の遺伝子の分離が報告されているが、その分離効率は高くなく、また得られた遺伝子はほとんど高発現遺伝子である。従来のディファレンシャルスクリーニングにおけるこれらの問題がクローン間の存在比を一定にした均一化cDNAライブラリーを用いることで解決されると考え、本研究において、均一化cDNAライブラリーの構築を行い、このライブラリーに対するスクリーニングを行った結果、付着器形成時に特異的な発現を示す11種の遺伝子の分離に成功した。 1.ウリ類炭そ病菌における均一化cDNAライブラリーの構築 本菌における均一化cDNAライブラリーの構築を試みた。構築されたライブラリーについて均一化の評価を行った結果、通常のcDNAライブラリーにおいては遺伝子間の割合に約300倍の差が見られたのに対し、均一化処理を行ったライブラリーにおいては、その差は約10倍まで下がり、均一化が成功していることが判明した。これは糸状菌における均一化cDNAライブラリー構築の最初の報告例である。 2.付着器形成時に優先的な発現を示す遺伝子の分離 均一化cDNAライブラリー中のクローンについて、ディファレンシャルハイブリダイゼーションにより、菌糸生育時に発現が見られず付着器分化時に発現が見られる遺伝子群の選抜を試みた。その結果、付着器分化時に優先的に発現する11種の遺伝子(CAD1からCAD11と命名)の分離に成功した。CAD遺伝子の発現量は高発現から低発現まで多様であった。 3.分離されCAD遺伝子の解析 CAD遺伝子の幾つかについて構造決定を行った結果、メタロチオネインまたはAspergillus属のマイコトキシン合成クラスター遺伝子などとの相同性が見い出された。
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[Publications] 稲垣温子: "Construction of an equalized cDNA library from Colletotrichum lagenarium and its application to the isolation of differentially expressed genes"Can.J.Microbiol.. 46. 150-158 (2000)
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[Publications] 高野義孝: "The Colletotrichum lagenarium MAP kinase gene CMK1 regulates diverse aspects of fungal pathogenesis"Mol.Plant-Microbe Interact.. 13(印刷中). (2000)