1998 Fiscal Year Annual Research Report
カイコの休眠開始を支配する遺伝子のSABRE法による同定
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10760032
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新美 輝幸 名古屋大学, 農学部, 助手 (00293712)
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Keywords | カイコ / 休眠 / SABRE法 |
Research Abstract |
現在、胚発生初期に休眠が開始される分子機構については全く明らかにされていない。これは、休眠の開始を支配する遺伝子のような微量な発現量のmRNAの解析が困難なことに起因する。本研究では、これを克服するため最近開発されたSABRE法により解析を試みる。 SABRE法は、2つのサンプリング間で異なる発現量を示す遺伝子をクローニングする方法である。他の方法と比較しこれまで解析が困難であった発現量が微量である遺伝子のクローニングに有効であることが報告されている。しかし最新の方法であるため、これまで成功例は、わずか一例しかない。そこでまず初めに、この方法の有効性を検討した。休眠現象の中で、遺伝子発現レベルで最も解析が進んでいる休眠ホルモンによる卵巣トレハラーゼ遺伝子の誘導に注目した。 蛹化当日に食道下神経節を除去し合成休眠ホルモンを注射し、その4時間後に卵巣を解剖摘出した。対照の無処理区には、蒸留水を注射し、同様に卵巣を調整した。それそれの卵巣よりPoly(A)+RNAを抽出し、cDNAを合成しPCRのテンプレートとした。ハイブリダイゼーションによるセレクションおよびPCRによる増幅を4回繰り返した後、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。その結果、休紙ホルモン処理区に特異的なバンドを数本得た。現在、ノーザンハイブリダイゼーションにより、これらのバンドが、真に休眠ホルモンによって発現が誘導された遺伝子に基づくPCR産物であるかについて解析中である。 また、上記の操作中にいくつかの重大な問題点が生じた。これを解決するため、本年度にSABRE法による遺伝子のクローンニングに成功したスイス、バーゼル大学バイオセンターのゲーリング教授らのグループを訪問し本研究の研究内容を詳細に検討すると共に、SABRE法に関する最新の改良点について情報交換を行う予定である。
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[Publications] Kunihiro SHIOMI: "A hydrophobic peptide (VAP-peptide)of the silkwarm,Bombyx mori:a unique role for adult activity proposal from gene expression and production at the terminal phase of metamorphosis." Insect Biochem.Mol.Biol.28. 671-676 (1998)
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[Publications] Michiyoshi TAKAHASHI: "Changing profiles of mRNA levels of Cdc2 and a novel Cdc2-related kinase(Bcdrk) in relation to ovarian development and embryonic diapause of Bombyx mori." Appl.Entomol.Zool.33. 551-559 (1998)